イボコロリで魚の目を撃退【正しい使い方をご存知ですか?】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
イボコロリは明石市に本社を置く横山製薬が、大正8年から製造販売している皮膚の角質を除去する薬です。基本的な塗り薬に加え、絆創膏で貼るタイプ、魚の目用に改良したタイプ、内服薬など、バリエーションも豊富になっています。
名前のとおりいぼを取り除く治療薬ですが、同じく角質が硬くなってできたたこや魚の目にも効果を発揮します。今回はイボコロリの使い方や魚の目への効き目など、いろいろな知識をお伝えします。
魚の目に効果的な成分
魚の目とは?
魚の目とは、繰り返して皮膚に刺激を受け、その部分の皮膚組織がそれに反応して細胞分裂が盛んになり、皮膚を構成するタンパク質の一種ケラチンが分厚く成長したものです。名前のとおり硬くなった表面の中央に丸い芯があり、魚の目にように見えます。
特に足裏や足指は、歩くと靴と皮膚がこすれて圧迫され、これが刺激となって魚の目ができることになります。中でもハイヒールの場合は先が細いので足先の圧力が大きくなり、魚の目が一層できやすくなります。
魚の目とたこは基本的に同じものです。内部で厚くなった角質層(角質柱とよびます)が皮下組織や真皮に深く入り込むのが魚の目です。このため、上から押すと魚の目は痛みますがたこは痛みません。治療も同じですが、魚の目には角質柱の除去が必要になります。
魚の目は初期ならパッドや絆創膏で保護すれば治ることもありまが、自然に完治するのは期待できず、治ったように見えても再発を繰り返します。
イボコロリなど市販薬も効果があり、ほとんどがこれで対処できます。ただ進行して芯が深く入り込んだ場合はメスやレーザーで切除することもあります。
なおウイルスの感染が原因のいぼには、皮膚科で液体窒素による凍結療法、電気焼却療法、ヨクイニン療法、グルタルアルデヒド療法などが行われますが、魚の目には凍結療法がまれに補助的に行われるぐらいで、他はまず行われません。
【関連記事】
魚の目の4つの原因や治療法【子供にできたら要注意!】
サリチル酸の作用
イボコロリの有効成分はサリチル酸です。この成分はヤナギの木からとれる鎮痛解熱薬として古くから知られていました。19世紀中ごろには合成に成功しています。のちに改造されて副作用を取り除いてアスピリンになったりしました。
使いみちは当初鎮痛解熱剤でしたが、強い胃痛の副作用から敬遠され、アスピリンに代わられます。抗菌作用から防腐剤としても広く使われていますが、強すぎる腐食作用に注目され、角質剥離剤(かくしつはくりざい)として使われるようになりました。
この成分は皮膚が硬く分厚く変成した角質組織を、柔らかくして分解する作用があります。この作用を使って、イボコロリでは魚の目、いぼやたこなどの厚くなった角質部分を取り除く治療目的で使われます。
他には抗菌・殺菌作用が強いため、ニキビやフケの予防目的で化粧品やシャンプーに多く使われています。また肌の角質を溶解して新しい皮膚に代謝を促すピーリング剤という使用方法もあります。これは刺激が強く、向き不向きの出やすい使い方です。
魚の目の症状についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
足の裏の皮が固いのはナゼ?【痛いのは魚の目のせいかも】
イボコロリの正しい使い方
液体タイプ
イボコロリシリーズには魚の目の治療に向いたウオノメコロリがあります。イボコロリに硬い角質を湿らせる乳酸を加え、ガンコな魚の目、たこに成分がより浸透しやすくなっています。使い方はイボコロリとほとんど同じです。
液体タイプを使う場合は、付属の棒に薬液をつけ、患部に少しず塗布します。入浴後患部がやわらかくなった時につけると効果的です。速乾性で、乾いたら耐水性の白い皮膜になり、有効成分が表皮から皮下組織へ浸透します。
次に塗るときはこの皮膜を剥がしてから塗ります。剥がすときには清潔を保ってください。痛みがある時には付属のウオノメパッドを張ると痛みが和らぎます。これを1日4回3~4日繰り返すと患部が白くなってきます。
白い部分がはがれ始めたら、痛まない程度に少しずつ取り除き、中心の角質柱(しん)をピンセットなどで抜き取ります。しんを完全に抜かないと再発します。
イボコロリのその他の効能についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
イボコロリの4つの効果に驚き【顔のシミには効くの?】
絆創膏タイプ
ウオノメコロリ絆創膏タイプには患部のサイズにより大きな足裏タイプと、小さな足指タイプがあり、使い分けができます。まず患部を清潔にして、剥離紙をはがし薬剤部分を患部にあてて密着させます。貼ったまま2~3日そのままにすると、患部が白く変化します。
あとは液体と同じで、患部が取れるまで繰り返します。最終的にはしんをピンセットなどで抜き取って、治療は終了です。絆創膏タイプには痛みを和らげるソフトな保護パッドがついた絆創膏50もあります。使い方は絆創膏と同じです。
イボコロリの副作用
皮膚症状
イボコロリの副作用としては、薬剤の過敏症として発疹、発赤、かゆみの症状がでる可能性があります。他には副作用ではありませんが、使用後に患部の周辺にシミ状の後が残ることがあります。これは一時的なものなので、しばらくすればなくなります。
使用上の注意
有効成分のサリチル酸は皮膚のケラチンを腐食させます。このため患部以外の場所につくとそこも侵されて炎症を起こします。普通の皮膚についてしまった場合はすぐに洗い流してください。
次のような人は医師、薬剤師に相談してから使用してください。イボコロリを使うと副作用が起こりやすくなったり、症状が悪化するおそれがあります。
✅ 本人や家族がアレルギー体質の人。
✅ 薬のアレルギー症状を起こしたことがある人。
✅ 妊婦、妊娠していると思われる人。
✅ 糖尿病患者。
✅ 他に病気で治療中の人。
まとめ
イボコロリは、もちろん魚の目やたこにもしっかりと効果がありますが、魚の目、たこ用のウオノメコロリもあります。大正時代から積み重ねた実績に、さらに改良を加えて進化を続けていますね。
魚の目・たこは成り立ちがイボとは違うので、同じ角質が硬化したものでも対処が違います。狙いを絞ってより効果的になったウオノメコロリなら、しつこい魚の目とのお付き合いを終わらせてくれるかもしれません。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。