テグレトール錠100mgの副作用が怖い【正しい飲み合わせを解説】
<監修薬剤師 日髙宗明>
テグレトール錠は1966年に発売され、長期にわたって使用されているお薬です。抗てんかん薬・三叉神経痛で処方されるものです。古い薬なので薬価も安く100mg7.6円、ジェネリック医薬品として「カルバマゼピン」も販売されています。
テグレトールは最高血中濃度に到達するのに最大24時間、半減期は36時間です。体内から無くなるまでの時間が長いため効果が持続します。
また、長期にわたる服用では効果が表れるまでの時間が短くなります。
短くなる理由は、肝臓の代謝酵素を増強して分解が早まるためです。その際は半減期が24時間以内と短くなるため、効果時間も少し短くなります。
躁うつ病などの興奮状態やてんかん、三叉神経痛などに効果を発揮するテグレトールですが、服用の仕方や期間などによっては副作用が出ることもあります。
テグレトールの効果や副作用・気になる飲み合わせなどについて解説します。
テグレトール錠の効果
テグレトール錠は実際どのような症状に効果があるのでしょうか。
てんかん
テグレトール錠はてんかん発作の中でも部分的なけいれん発作の予防に効果を発揮します。部分的な発作には間隔の異常や精神的な変調(無反応を含みます)・運動にかかわるものから自律神経の失調などがあります。
これらは脳の神経障害であり、テグレトールが脳神経の興奮を抑える作用があるため発作予防ができるのです。
強直間代発作には効果がありますが、短時間倒れて失神したりする欠神発作や脱力発作・手足をぴくつかせるミオクロニー発作には効果がありません。
ミオクロニー発作の対処方法についてはこちらを参考にして下さい。
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躁病や躁うつ病などの精神疾患
脳神経の興奮を鎮める効果があるので、躁病や躁うつ病・統合失調症などの精神疾患により興奮状態になるのを防ぐ作用があります。不安感や過剰な緊張状態の緩和に投与されるお薬です。
三叉神経痛
三叉神経とは12対からなる脳神経が眼神経・上顎神経・下顎神経との3つに分岐することからその名がついています。脳神経の中で最も大きな神経で、頭部の広範囲に伸びて皮膚感覚のほとんどを担っています。
この三叉神経が痛むことで発生するのが「三叉神経痛」で、比較的短時間ですが激痛が走るのが症状です。テグレトール錠はこの三叉神経を鎮める効果があり、服用することで発作的な激痛が起こりづらくなってきます。
ただし効果はあまり長期間は続かず、連続服用ではだんだんと効果が薄くなっていくようです。帯状疱疹後神経痛に処方されることもあります。
テグレトール錠の副作用
テグレトール錠は主に神経の高ぶりを抑える効果があることがわかりました。しかし、どんなお薬にも効果の裏には副作用が発生するものです。テグレトール錠の副作用について見ていきましょう。
眠気が最も多い副作用
比較的多く報告されている副作用は眠気、めまい、ふらつき、倦怠感、運動失調、脱力感、発疹、頭痛です。
ほかにも立ちくらみや口渇などの症状がでることもあります。
これらの症状が強い時には服用量の調整を医師にしてもらいましょう。
テグレトール錠の服用中は定期的な医師の診察が必要です。例えば副作用の発疹ができてそのまま放置していると、場合によっては全身性の皮膚症状につながってしまうこともあるからです。
テグレトール錠は服薬を続けている間に血中濃度が増減するお薬なので、効果の強弱を検査する必要もあるのです。
服用初期にみられる副作用
飲み始めたころには血中濃度が安定するまでの間、副作用が出やすいことがあります。ふらつきや脱力感・頭重・立ちくらみ・悪心などです。
重大な副作用
服用中に起こる副作用には重篤な症状を起こすものもあります。次のような症状が現れた場合には速やかに医療機関を受診しましょう。
発熱やのどの痛み・口内炎や皮下・歯肉の出血などがある場合、白血球の減少や溶血性貧血など血液性の障害の恐れがあります。発熱・発疹とともにリンパ節腫脹や関節痛・好酸球増多などが起きた場合は過敏症の恐れがあります。
黄疸がみられた場合は肝機能障害ですので、すぐに受診してください。
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また、アナフィラキシー症状としてじんましん・血管浮腫・意識障害・呼吸困難が挙げられます。
まれにうっ血性心不全や徐脈、肺や腎臓の障害の発生も報告されていますので、気になることがあれば、医師や薬剤師に連絡してください。
その他の副作用
皮膚症状として多型結節性紅斑・紫斑・色素沈着、筋骨格系として脱力やけいれんが発生する場合もあります。精神症状では抑うつ・興奮などの精神変調や運動失調・振戦(ふるえ)などの不随意運動や言語障害にも注意が必要です。
言語障害の原因についてはこちらを参考にして下さい。
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慎重投与
妊婦への投与はかなり慎重にならなければいけません。危険性を上回る治療効果がある場合のみです。妊娠の可能性がある場合も必ず申し出てください。
胎児に二分脊椎や口唇口蓋裂・心室中隔欠損や出血傾向などが発生する危険性があります。
テグレトール錠の飲み合わせ
薬と薬のに見合わせやその他の食品などとの食べ合わせなどで、体にある反応が出てしまうことを「相互作用」といいます。
治療効果が出にくくなったり、副作用が出やすくなるため避ける必要があります。
併用してはいけない薬剤(併用禁忌)
✅「ボリコナゾール」(抗真菌薬)
✅「タダラフィル」(勃起不全治療薬) ✅「リルピビリン」(エイズ治療薬) |
この3つの処方薬との併用は禁忌とされています。
また解熱鎮痛剤に含まれる「アセトアミノフェン」も長期で併用すると肝臓障害が発生する恐れがありますし、気管支拡張剤の「テオフィリン」も注意しましょう。
その他にも免疫抑制剤やアモキサンなどの三環系抗うつ剤など、併用することに対して慎重にならなくてはいけないお薬がたくさんあります。
このため、服薬前の事前のチェックが重要です。
お薬手帳を薬局で発行してもらうことで併用してはいけない薬を使っていないかどうかを医師や薬剤師にチェックしてもらうことが容易になります。
テオフィリンについてはこちらを参考にして下さい。
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サプリメント
サプリメントとの飲み合わせも注意が必要です。「セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)」を含んでいるものは摂取してはいけません。テグレトール錠の効果を弱めてしまう可能性があります。
飲みもの
お薬は必ず水か白湯で飲みましょう。これは相互作用を防ぐためにも必ず守るようにしてください。テグレトール錠を服用している間のアルコールは控えるようにしましょう。副作用が増強されることがあります。
ジュースでもそのままでも、一緒に摂取してはいけないのはグレープフルーツです。特にグレープフルーツジュースでテグレトール錠を飲んではいけません。
グレープフルーツに含まれる成分「フラボノイド」が肝臓や小腸などの薬の代謝を促す酵素を抑制するからです。一緒に摂取することで血中濃度が上昇しやすくなり、副作用が強く出る場合があります。ほかにも夏ミカンや伊予柑なども避けるようにしましょう。
グレープフルーツを食べると、テグレトールに影響しなくなるまでには少なくとも4日程度は必要とされています。
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