ホスミシン錠500mgは風邪に効くのか?【下痢など副作用にも言及】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
ホスミシン錠という薬を処方された方がいると思います。
ホスミシンとはどういう効果のある薬であるか、一般的な風邪にも効果があるかどうかなど、副作用についても説明していきます。
薬の効果についてはきちんと知っておくことに超したことはありませんよ。
気になる所から確認してみよう
ホスミシン錠500mgとは?
まず始めに、病原微生物と呼ばれる細菌やウイルス、真菌などに感染してしまうことで、腫れや発赤、化膿したりなどの痛みを伴うことがあります。
このような体の反応は、病原微生物から体を守ろうとする防御反応です。
今回説明するホスミシン錠とは、細菌に効果のある抗生物質です。しかし、細菌と呼ばれるどの菌にも効果がある訳ではありません。
ホスミシンに感性のブドウ球菌や大腸菌、赤痢菌、セラチア菌、サルモネラ菌、変形菌(プロテウス)などに効果のある薬です。飲み薬は呼吸器感染症への適応を持っていません。
薬の作用機序としては、細胞の能動輸送によってホスミシンが菌の中に取り込まれ、細菌が細胞壁(ペプチドグリカン)を合成しようとする働きを抑えることで殺菌作用があります。
特に他の抗生物質が効きにくいグラム陰性桿菌の緑膿菌に有効です。
抗生物質についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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ホスミシン錠500mgはこんな細菌に効果あり
先ほども少し述べましたが、ホスミシン錠が効果的な細菌はいくつかあります。どのような菌があるのでしょうか?
ブドウ球菌
ブドウ球菌属のグラム陽性球菌です。虫さされなどの掻いた傷から熱傷用皮膚症候群や化膿性乳腺炎を起こします。また、骨髄炎、肺炎、食中毒の原因菌です。
大腸菌
グラム陰性桿菌の1種で、ほ乳類の腸内にいる菌です。
大腸の中には100兆もの細菌がいて善玉菌と悪玉菌に分けられます。大腸菌で1番有名な症状がO-157で、注意が必要なのは腸管出血性大腸炎です。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は人や家畜の腸内だけでなく、ウナギやスッポンも感染していることがあります。感染すると吐き気や発熱、下痢があります。
赤痢菌
急性の下痢症で、血便になります。20代が一番多く、汚染された食品や水を介して感染します。
糞口感染を起こすために、家庭内での二次感染が多く、小児や高齢者に注意が必要です。
緑膿菌
グラム陰性桿菌の一種で、水回りなどに常在しますが、健常者には感染しない弱毒性細菌です。消毒薬や抗菌薬に対する抵抗性が高い菌です。
セラチア属
腸内細菌の一つでグラム陰性桿菌の一種です。
人に対しては弱毒性ですが、体力や免疫力が低下した人に感染すると尿路感染症や気道感染症、心内膜炎になり、重症の場合には多臓器不全になることがあります。
プロテウス属
腸内細菌科に属する細菌で人や動物の腸、糞便や下水に存在しています。感染すると尿路感染を起こします。
カンピロバクター属
サルモネラ菌と同様で食中毒になり、腹痛や下痢、嘔吐、発熱の症状があり、希に血便になります。合併症(ギランバレー症候群)を起こすこともあります。
ギランバレー症候群についてはこちらを参考にして下さい。
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ホスミシン錠500mgはこんな病気に使われています
ホスミシン錠500mgを服用する病気についていくつか挙げます。
深在性皮膚感染症
ストレスや体力が落ちている時など何かのきっかけで発症し、皮膚の深いところで病原性を発揮し、多発性汗腺性膿瘍や急性爪囲炎を発症します。
膀胱炎
排尿痛や頻尿、尿が混濁するなどの症状があり、下腹部の不快感もあります。症状が急激に現れることが特徴です。
腎盂腎炎
腎臓に細菌が感染して起こる炎症のことです。女性は尿道が短く腎臓に菌が入りやすいため男性に比べると発症しやすいです。
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感染性腸炎
発熱を伴った下痢や腹痛、吐き気、嘔吐が多く、血便になることもあります。一部の寄生虫疾患では下痢が長く続く場合があります。
涙嚢炎
涙が出る管の涙嚢が細菌感染して起こる病気です。常に涙が溢れて目やにが生じます。
麦粒腫
ものもらいのことです。瞼の一部が赤く腫れ上がり、痛みが出ます。初期には赤みが目立つことはないですが、指で押さえると痛みが出ます。
瞼板腺炎
瞼にある瞼板が炎症を起こした状態のことです。コンタクトレンズを使用する際に目の周りを不潔にしていると炎症を起こしやすくなります。
中耳炎
耳の中に膿が溜まった状態のことです。鼻水や目やにの量が多いこと、突然熱が出るなどの症状があります。
中耳炎の症状や治療方法についてはこちらを参考にして下さい。
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中耳炎(大人)の症状チェック【治療法も確認しよう】
副鼻腔炎
症状としては痛みと鼻汁です。ただし、膿のような悪臭を伴う鼻汁が出ます。咳は出ないのに鼻水が出て風邪のような症状が続く場合には注意です。
風邪にホスミシン錠500mgが効く?
先ほど説明した病気に服用するホスミシン錠500mgですが、一般的な風邪の場合にも効果があるのか説明していきます。
始めにお伝えしたように、ホスミシン錠500mgは細菌を殺す抗生物質ですので、ウイルスが原因の風邪については効果がありません。
処方理由としては風邪の原因が、ウイルスなのか細菌によるものかの判断が難しい為に処方することがあります。
また、免疫力が落ちて弱った体を合併症から守るために処方することもあります。
抗生物質の使用で知っておきたいことは耐性菌の問題です。漠然とした抗生物質の使用は薬が効きにくくなる耐性菌が生まれてしまう原因となります。
耐性菌を増やさないためにも、抗生物質の使用は必要最小限に留めることが世界中で求められています。
特に、乳幼児への抗生物質の使用は、必要な腸内細菌を減らしアレルギー発症のリスクが増える可能性もあります。
ホスミシンに限った話ではなく、風邪で抗生物質が処方された時はその理由を医師に聞いてみることも大切でしょう。
ホスミシン錠500mgの19の副作用
次に起こり得る副作用について説明していきます。
胃腸症状
軽度な症状であることが多い胃腸症状ですが、症状は以下のように様々です。
✅ 腹痛、下痢、軟便
✅ 胃部不快感、胃もたれ、消化不良
✅ 吐き気、嘔吐
✅ 食欲不振、胸やけ、腹部膨満感
✅ 大腸炎
→偽膜性大腸炎などの血便を伴う症状が出る可能性があります。すぐに病院を受診してください。
皮膚症状
皮膚症状はどの薬にも起こり得る可能性のある症状です。以下のような症状があります。
✅ 発疹
✅ じんましん ✅ かゆみ |
その他の症状
その他の症状として以下のような症状があります。
✅ 肝機能異常
✅ 肝機能項目AST・ALTの上昇
✅ 抗酸球増多
✅ 血小板減少
✅ 頭痛、めまい
✅ 耳鳴り
✅ むくみ
✅ ほてり
✅ 心機亢進
✅ 倦怠感
✅ 口内炎
これまでに説明してきた副作用の症状には個人差がありますし、これ以外の症状が出ることもあります。
気になる症状がある場合には医師、薬剤師に相談してください。
肝機能については血液検査で様子を見ることができます。くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ホスミシン錠500mgの使用上の注意をしっかり理解して
薬を服用することで注意しておかなければいけない点について説明していきます。
服用は、食後に水または白湯で服用してください。
15歳以上の方は1日に4~6錠を3~4回に分けて服用します。15歳以下の方は体重によって服用量が異なります。40~120mgに体重(kg)で求めた量を1日に3~4回に分けて服用します。
薬剤としては錠剤やカプセルもありますが、小児の場合にはドライシロップタイプもあり、水に溶かして服用することも出来ます。
用量については年齢だけでなく、症状によって服用量を調整していきますので、医師の指示に従ってください。
服用する際に注意しなければいけないのは、肝障害がある方です。
薬は肝臓で代謝されるので、薬の服用後に体調変化があった場合は医師に相談してください。
また、高齢者も注意が必要です。高齢者は腎機能が低下しているために医師や薬剤師の指導の下で服用量の減量が必要です。
妊娠中の薬の服用はなるべく控えていかなければいけませんが、どうしても必要な時には必要最小限の範囲で使用することになっています。
診察を受けるときには妊娠しているかどうかをお伝えください。
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