リカバリンカプセル250mgの4つの効果効能【副作用はコレ!】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
風邪でのどがひどく痛んだり、口内炎ができた時などにリカバリンカプセル250mgが処方されることがあります。一緒に処方される解熱鎮痛剤の効果は判りますがリカバリンカプセル250mgは何のために出されるのでしょうか。
リカバリンカプセル250mg はトランサミンという薬のジェネリック医薬品ですが、どんな特徴がありどんな作用を持つのでしょうか。
リカバリンカプセル250mgの効果や副作用について解説します。
リカバリンカプセル250mgの効果
リカバリンカプセルはプラスミンという血液をとかす物質を抑制して止血する作用を持ちます。安全性が高く、様々な出血に広く用いられる「抗プラスミン薬」と呼ばれます。
先発薬のトランサミンについてはこちらを参考にして下さい。
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抗出血効果
出血しやすい疾患に効果を発揮します。プラスミンは「繊維素溶解酵素」と呼ばれます。フィブリンやフィブリノーゲンという血液を凝固させる繊維状のタンパク質で、プラスミンはこの作用をブロックする効果があります。
リカバリンカプセル250mgはこのプラスミンの作用を抑えるお薬です。
白血病や再生不良性貧血・紫斑病や術中術後の異常出血などの全身性線溶亢進の出血傾向、局所性の肺出血や鼻出血・腎出血などで抗出血効果をもたらします。
抗アレルギー
繊維素溶解酵素のプラスミンはアレルギー症状を起こす働きがあります。アレルギーでは透過性が亢進した血管に炎症が起こります。
アレルギー反応の炎症を起こすプラスミンに働きかけることでアレルギー症状の腫脹や充血などを和らげる効果があるのです。
抗炎症
プラスミンは血栓を溶かす以外にも炎症を誘発する作用があります。炎症が起きた部分は発赤や腫脹・発熱などが発生します。
それらの炎症反応をリカバリンカプセルが抑えることで湿疹や薬疹・蕁麻疹・中毒疹などの発疹や口内炎・咽頭痛などの症状が改善します。
色素沈着にも
プラスミンは皮膚の色素沈着にも影響を及ぼしています。このリカバリンカプセルはプラスミンを抑制することでシミなどにも効果があります。
美容外科や皮膚科で主に肝斑の治療薬として処方されていますが、実はリカバリンカプセルはアミノ酸の一種「トラネキサム酸」なのです。
肝斑の他にも老人性色素斑にも応用されています。年齢を重ねると気になってしまうシミにも有用なお薬というのは嬉しいことですが、肝斑やシミなどは適応疾患外になるので保険適用ではなく自費診療になります。詳しくは医療機関にご相談ください。
リカバリンカプセル250mgの副作用
リカバリンカプセル250mgは安全性の高いお薬で、副作用の件数は多くはありません。ジェネリック医薬品のため先発品のトランサミンの副作用事例と同等のものだと言えます。
では、どのような副作用があるのか具体的に見ていきましょう。
過敏症
掻痒感(かゆみ)・発疹が見られることがありますが、発生頻度かなりわずかなものです。
消化器症状
食欲不振・悪心・嘔吐・胸焼け・下痢の症状が発生することもあります。
重大な副作用
頻度は稀ですが、痙攣が発生することが確認されています。頻度は不明ではありますが、人工透析患者に発生することがあるので注意が必要です。
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いずれの副作用もわずかな発生率ではありますが可能性がない訳ではありません。もしこのような症状が見られた場合はすぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
リカバリンカプセル250mgの飲み合わせに注意
副作用が少なく効果が高いリカバリンカプセルですが、飲み合わせによる相互作用や慎重な使用を求められる場合もあります。
注意しなければならない相互反応と禁忌・慎重投与の例について確認しましょう。
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併用禁忌
タンパク質分解酵素の一種であるトロンビンとは併用禁忌です。トロンビンは血栓の形成を促す作用があるため、リカバリンカプセルと併用することで血栓が形成されやすくなるためです。
トロンビンは胃出血などでも使用されているお薬です。外来で処方されることもあるため十分な注意が必要です。
ヘモコアグラーゼ
ヘモコアグラーゼは肺出血・鼻出血・口腔内や創傷・腎出血で使われる薬です。ヘモコアグラーゼによりつくられたフィブリンの塊がリカバリンカプセルの作用によって長く残った場合に血栓となり、血管が閉塞した状態が持続する恐れがあります。
バトロキソビン
突発性難聴でも投与されることがあるバトロキソビンは閉塞性動脈硬化症などの虚血性疾患や末梢循環障害の改善に用いられます。
バトロキソビンとリカバリンカプセルを併用すると血栓や塞栓症を起こす恐れがあるため併用できません。耳鼻科でも処方されることがあるので注意しましょう。
凝固因子製剤
ヒトの血液からつくられる血液凝固因子製剤は、血漿中の特定の凝固因子を凍結乾燥してつくられます。主に凝固因子が先天的に欠損している血友病の治療や、手術で大量出血が伴った場合などに使用されます。
凝固因子製剤は凝固系を活性化させたり線溶系を阻害することで止血作用を発揮するため、リカバリンカプセルと併用することで口腔内や線溶系が強い部位ではより血液凝固が起こりやすくなります。
慎重に服用しなければならない場合
現在治療中の以下のような疾患がある場合は、医療機関で十分な相談をすることを心がけましょう。調剤薬局でもお薬手帳を提出して薬剤師に重複使用や相互反応を避けるためにも確認してもらうことが大切です。
✅ 脳血栓や心筋梗塞などの治療中の場合は血栓が定着することがあります。
✅ 出血した箇所以外の全身の血管内で無秩序に血液凝固が起こり血小板を消耗する消費性凝固障害の治療中の場合も血栓が定着することがあります。治療薬のヘパリンとも併用できません。
✅ 術後の臥床状態(起き上がれない場合)や圧迫止血をしている場合も慎重な使用が求められます。静脈血栓ができやすい状態のため、起き上がったり圧迫を外した時に肺塞栓症が起こることがあります。
✅ 腎不全がある場合はリカバリンカプセルの血中濃度が上昇することがあるため使用は避けます。 |
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