副作用に注意!リフレックス錠とは【効果や注意点を詳しく解説】
<監修医師 サリー>
リフレックス錠とは2009年に登場した新しい抗うつ薬です。なかなか改善の兆しがなかったうつ症状や不安感などの精神症状に対して処方される比較的新しいものと言えます。
抗うつ薬ではあるものの、睡眠障害に対しての効果も兼ね備えている点がメリットとされています。
しかし、効果が高く即効性があるリフレックス錠にも副作用や使用するにあたって注意しなければならない事柄もあるのです。
気になる所から確認してみよう
リフレックス錠とは
リフレックス錠は成分名「ミルタザピン」として2009年に日本国内で販売されるようになり、2016年にはそれまで15mgのみの規格だったものに30mgも加わりました。
リフレックス錠は第4世代の抗うつ薬で、即効性に優れ睡眠障害にも効果があるという点が特徴で高い評価を受けています。
同じ成分で「レメロン錠」という名称でも販売されていますが、ジェネリックとしてはまだ販売されていません。
4環系抗うつ薬のテトラミドと構造式が似ていることから眠気が起こりやすいという特徴はありますが、気分の落ち込みや悲観的になる・集中力の低下などに効果を発揮します。また過度の緊張や焦燥感にも効果があるお薬です。
うつ病に関わる症状のほかにも統合失調症の治療にも使用されており、神経認知機能の改善効果も期待されています。
第4世代NaSSAに分類されるお薬で、ノルアドレナリンとセロトニンの両方の神経伝達を活性化させる作用があります。ノルアドレナリンは意識の低下を抑え、セロトニンは不眠や不安感の改善を助けます。
抗うつ薬の世代って何?
抗うつ薬には「世代」があります。それぞれに効能や副作用の発現の仕方・使用される疾患が変わってきます。
第1世代
塩酸イミプラミンなどの「三環系抗うつ薬」で、抗うつ作用が強いものの副作用も強く発現します。
第2世代
塩酸ミアンセリンなどの「四環系抗うつ薬」やアモキサピンなどの三環系の改良型のことです。第1世代よりも副作用がやや軽く、抗うつ作用も若干弱いものです。
第3世代
第1世代・第2世代よりも副作用が軽減されたSSRIと呼ばれるものです。セロトニンのみに作用する「セロトニン再取り込み阻害薬」です。
第4世代
効能は第1世代の塩酸イミプラン同様強いものですが、副作用が第3世代程度に抑えられたものでSNRIと呼ばれています。
リフレックスはこの第4世代に分類される「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤」です。
抗うつ剤についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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リフレックス錠の効果や発現時間を確認
リフレックス錠は様々な心に起こる不調に対応できるお薬で、主にうつ病やうつ状態の治療に使われ効果を発揮します。
精神疾患以外では抗ヒスタミン作用があるので慢性的な痒みを抑える場合に使われることもあります。
抗うつ薬の効果が出るまでには大体2週間程度かかると言われていますが、リフレックス錠は早ければ翌日には効果が発現します。
抗うつ効果ならば3日程度で発現することが多く、従来の抗うつ剤と比較しても格段に発現までの時間が短いのが特徴です。
効果の持続時間も長いため、1日1回就寝前に服用するだけで済むこともメリットです。
リフレックス錠の作用機序
抗うつ剤はセロトニン受容体との関係で作用します。リフレックスはノルアドレナリンの放出を促進するだけでなく、セロトニンの作用を増強させる働きがあります。
セロトニンが作用するセロトニン受容体(5-HT受容体)は「5-HT1受容体」、「5-HT2受容体」、「5-HT3受容体」と分けることができます。セロトニンによる抗うつ作用には「5-HT1受容体」が関係しています。
リフレックスは「5-HT2受容体」と「5-HT3受容体」に対してのみ選択的に阻害し、抗うつ作用に関係している「5-HT1受容体」には阻害作用を示しません。
つまり、脳内に放出されたセロトニンは「5-HT1受容体」にのみ作用することになり、結果として「抑うつ・抗不安作用」が現れます。
リフレックス錠は使用上の注意をしっかり守ろう
高い効果が素早く現れるリフレックス錠ですが使用上の注意を守り、専門医の指導のもとで服用しなければなりません。
リフレックス錠の用量
飲み始めは1日15mgから、年齢や症状に応じて増減しますが1日45mgを上限とします。
マウスでの毒性実験では、体重1kgに対して500mg程度が致死量とされています。用量は決められた通りに服用しなければなりません。
慎重な投与が必要なケース
抗うつ剤は24歳以下の患者に投与する場合自殺願望の増強や企図リスクが増加するとされています。小児への投与の安全性は確立されていません。
また妊婦では、子供の死亡率の増加が見られ、投与は避けます。また授乳婦も同様に慎重な投与となります。お乳に成分が移行してしまうため、服用中は授乳を避けるようにします。
母乳がいつから出るのかについてはこちらを参考にして下さい。
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高齢者では血中濃度上昇の恐れがあるため、投与は慎重になされます。
併用禁忌・注意
MAO阻害剤とは併用できません。MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩)とはパーキンソン病の治療薬として使用されるものです。
HIVプロテアーゼ阻害薬を使用している場合にはリフレックス錠の作用が強く出すぎる場合があるため併用には注意が必要です。
セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を含むサプリメントやハーブティーなどと併用すると副作用が増強されます。
アルコールは鎮静作用が強まることがあるため、リフレックス錠服用中は避けましょう。眠気が発生することがあるため自動車の運転には注意が必要です。
減薬にも細心の注意を
投薬は全て医師の指示に従うことが原則です。「依存してしまうのではないか」と考えるのは誰にでもあることですが、独断で断薬をすることは厳禁です。
離脱症状と言って、急激に血中濃度が下がることにより不安感や興奮・悪心・めまいなど様々な症状が発生することがあります。
何よりも精神的な不具合が急激に起こるので、それらを防ぐためにもカウンセリングや医師の指導のもと減薬をすることが大切です。
5つの病気の場合は使用しないことが原則です
既往症によってはリフレックス錠を使用できない場合があります。必ず既往症の申告をし、処方箋に基づいて使用しましょう。
肝臓疾患
肝臓病など肝機能に障害があり治療中の場合には使用できません。機能障害の悪化やリフレックス錠成分の血中濃度異常が発生する場合があります。腎機能障害がある場合にも同様のことが言えます。
肝機能に障害があるかどうかは血液検査でも分かります。くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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心臓病
心筋梗塞や狭心症・不整脈など心臓疾患がある場合にしようすると症状が悪化することがあります。
心臓病の種類についてはこちらを参考にして下さい。
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緑内障
眼内圧亢進や緑内障がある時にもリフレックス錠は慎重に使用します。
泌尿器系疾患
前立腺肥大や排尿障害など泌尿器系の疾患がある場合、症状悪化の恐れがあります。
精神疾患
てんかんや躁うつ病の治療中に使用する場合は注意が必要です。自殺念慮のある患者に使用する場合にも細心の注意をします。
第一の副作用は眠気!その他にも4つの副作用に注意して
薬には「リスク」と「ベネフィット」があるといいます。それぞれ「副作用」「効果」という意味を持っており、それを使用することによるリスクを最小限に抑えて効果を最大限引き出すということで病気に対応しています。
リフレックス錠には高い効き目がある反面、特徴的な副作用もあります。私たちの体に対して大きな改善作用を持つことに対して、同じくらいの大きさで起こる「反作用」ともいえるでしょう。
主な副作用
眠気(傾眠を含む)・口渇・倦怠感・便秘・めまいが主な副作用です。
一番多い副作用は眠気で、就寝前に飲むとウトウトするという人もいます。この作用を利用することで不眠にも対応できるということになります。
不眠症の対応策についてはこちらも参考にして下さい。
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頭痛や動悸・手足の震え・体重増加が見られることもあります。
体重増加が起こる理由は「抗ヒスタミン作用」で、食欲亢進に似た作用が出ることがあります。食欲に任せて食べこむと肥満になるので、食事量は適切にコントロールしましょう。
セロトニン症候群
他の抗うつ剤と併用している場合に比較的起こることがある「セロトニン症候群」というものがあります。これは脳内のセロトニン濃度が過剰になることにより発生する副作用です。
不安や焦燥感などの気分障害や震えなどがひどいと感じたらすぐに医師に相談しましょう。服薬を開始して数時間以内に現れることが多いので、飲み始めは注意しておくと良いでしょう。
肝機能異常
肝酵素値上昇を伴っての黄疸や肝機能障害が発生することがあります。
尿や血液に関わる副作用
低ナトリウム血症や尿中のナトリウム排泄量増加・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が現れることがあります。ひどい倦怠感やけいれんなどが発生した場合には医師の診察を受けましょう。
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