太田母斑の原因や2つの治療法まとめ【レーザーで確実に治るの?】
<監修医師 WASHIO>
太田母斑とは、通常のシミよりも皮膚の深いところにできる青あざです。目のまわりや顔の半面に広がっている症状の人をひょっとしたら見かけたこともあるのではないでしょうか。
これは珍しい病気ではなく、日本人を含む東洋人に多いあざと言われています。今回は、太田母斑の原因や治療法についてまとめていきたいと思います。
「太田母斑はどうしてできるの?」「シミやそばかすとの違いは?」「レーザーで確実に治るの?」等の疑問にお答えします!
太田母斑とは?
頬を中心にできる青あざ
母斑は、通常のシミよりも皮膚の深いところにできた色素沈着、つまり「あざ」のことで、多くは青色ですが、黒あざ、茶あざもあります。
中でも太田母斑は、頬を中心とした額、目、鼻のまわりにできる青あざで、顔の片側にできることが多いです。
大きさや色は個人差があり、小さな点のように見える場合もあれば、斑が集合して大きなあざになっている人もいます。
太田母斑は女性に多い!
太田母斑は、日本人の0.1〜0.2%程度の人にみられると言われていますが、特に女性に多くみられ、男性の4〜5倍以上の確率で出やすいそうです。日本人を含む東洋人に出やすく、治療せずに自然と消えることはありません。
赤ちゃんのときから目立つタイプと、小児期に現れて成長とともに徐々に拡大して濃くなり、思春期に目立ってくるタイプがあります。
太田母斑の原因
原因不明の色素異常
母斑は、遺伝性ではなく先天性の何らかの理由によって発症し、メラニン色素の異常繁殖によるものと、ヘモグロビンの血色素の異常によるものがあると言われています。
太田母斑は原因不明ですが、メラニン色素の異常によって引き起こされていることは分かっています。
ちなみに、皮膚は表皮、真皮、脂肪の層が重なってできており、色素異常が皮膚のどの層でできるかによって母斑の色が変わります。
最も外側の表皮にできた視界型の色素性母斑は黒あざ、表皮と真皮にできた複合型の扁平母斑は茶あざが多いです。そして、太田母斑は蒙古斑と同様に真皮にできた真皮内型のため、青っぽくみえるのです。
早発型と遅発型がある
早発型の場合は、母親の胎内にいる「胎生期」に、体の一部に突然変異が起こってできたものと考えられ、生後1年以内に出現します。
本来、メラニン色素のない皮膚の深い場所に、メラニン色素を作る細胞が存在することによって発症するそうですが、その原因は明らかになっていません。
また、遅発型の場合は20〜40代で発症し、日光性色素斑や肝斑など他のシミと合併することが多く、両側にできる褐色あざです。
加齢による肌老化や細胞の変性、ホルモンバランスの乱れ、紫外線が原因の一つと考えられるそうですが、はっきりしていません。
太田母斑の2つの症状
小さな斑の集まり
太田母斑の青あざは、小さな斑の集まりで、一見シミ・そばかすに見えるものから、斑の集合が広範囲に濃く現れる場合など様々です。境界線が分かりにくく、痛みは全くありません。
軽度の場合は、まぶたの部分にパンダの模様のようなあざが出る程度ですが、重症は顔半分の額、まぶた、頬、ときには側頭部まであざに覆われてしまうこともあります。
眼球や口腔粘膜にも発症する!
太田母斑は、皮膚の真皮層にでき、蒙古斑と同じ特徴を持つ青あざです。
顔面の皮膚だけではなく、眼球や口腔粘膜に青色の色素沈着が見られたり、肩から上腕部に同様の斑が見られる場合があります。ちなみに肩にできたものは「伊東母斑」と呼ばれます。
太田母斑の治療法!自然には治らない!
自然には治らない!
太田母斑は経過とともに濃くなったり広がることはあっても、自然に消失することはありません。そして原因不明のため予防法もなく、現在の医療ではあざを除去する治療しか直接的なアプローチがありません。
従来は皮膚移植やドライアイス療法などの治療法がありましたが、皮膚への負担が大きいため、数回にわたるレーザー治療であざを薄くしていく治療法が主流となっています。
Qスイッチレーザー
太田母斑は表皮よりも深い真皮のメラニン細胞へレーザー照射する必要があり、通常のレーザー波では出力不足で届きません。そのため、Qスイッチレーザーが使用されます。
これは、高い出力のエネルギーを劇的に短い時間で照射できるため、皮膚へのダメージを最小限に抑えながら真皮のメラニン細胞を治療できるのです。
Qスイッチレーザー治療は、4ヶ月おきに3回以上の治療が必要になります。治療は早期の方が効果がありますが、小児の場合は全身麻酔をするため3歳頃からが最適です。
太田母斑は保険適応
シミなどの除去は基本的に自費となりますが、太田母斑の治療は保険が適応されます。そのため、単なるシミかと思っていたら太田母斑だったという例も少なくありませんので、専門医に一度診てもらうことをオススメします。
多くの場合が皮膚科や形成外科もしくは美容クリニックでの治療で、日帰り手術となります。
クリニックによって、「皮膚遺伝外来」、「薬物療法なども用いた総合的治療」、「専門医が2名在籍してセカンドオピニオンが可能」といった特色がありますので、事前に調べて自分に合った病院を選んでおくと良いでしょう。
メイクでカバー!
太田母斑は痛みやかゆみなどの症状がないため、本人が気にしていない場合は治療する必要はないでしょう。
しかし、見た目を気にする女性や思春期には辛いものです。レーザー治療前や治療期間中には、パーフェクトカバーできる化粧品を使って母斑を隠すことも精神的負担を軽減するためには大切です。
今回は、太田母斑の特徴、原因や治療法についてまとめました。原因不明で防ぎようがなく、しかも顔にできる太田母斑は、思春期や若い女性には辛いものです。
たとえ痛みやかゆみなどの症状がなくても、精神的に苦しい思いをするならキレイに除去したいものです。他の皮膚疾患と同様に保険が適応する病気ですので、お悩みの方は専門医に一度診てもらうことをオススメします。
かつては「消えないあざ」が、今の医療では「安全に消せるあざ」へ変わってきたことは嬉しいことですね。
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