紫斑病の症状チェック【2つの原因と治療法をお伝えします】
<監修医師 WASHIO>
紫斑病(しはんびょう)という病気をご存知でしょうか。紫斑とは簡単に言えばアザのことで、ぶつけた覚えがないのに紫斑がよくできるというのがこの病気の特徴です。
自覚症状があるとすればアザができるというくらいなので見逃しやすい病気なのですが、小児がかかりやすい紫斑病もあり、アザを作るくらい元気に遊んでいると思っていたら紫斑病だったというケースもありますので注意して早期発見していただきたい病気です。
では、紫斑病の例を挙げて、その症状、発症原因、治療法についてご説明していきます。
気になる所から確認してみよう
紫斑病とは? 紫斑病には2つ種類がある
紫斑とは出血が起こりやすくなったことで血管から皮膚や粘膜に血液が漏れた内出血状態が肉眼的に紫色のアザとなって見られるものを言い、紫斑を主な症状とした病気全般を紫斑病と呼び、大別すると「血小板非減少性紫斑病」と「血小板減少性紫斑病」の2種類があります。
「血小板非減少性紫斑病」の患者では血小板数は正常ですが「血小板減少性紫斑病」の患者では血小板数は平均より少ないという特徴があります。
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なお、「血小板非減少性紫斑病」には「アレルギー性紫斑病」・「単純性紫斑病」「老人性紫斑病」があります。「血小板減少性紫斑病」には「特発性血小板減少性紫斑病」・「血栓性血小板減少性紫斑病」があります。
紫斑病の症状チェックをみてみよう
血管性紫斑病(アレルギー性紫斑病)
小児によくみられる免疫学的機序による全身性小血管炎で紫斑、腹部症状、関節症状が3大徴候とされ、アレルギー性紫斑病やヘノッホ・シェーンライン紫斑病とも呼ばれます。
ここではアレルギー性紫斑病についてご説明します。小児の全身性血管炎の中で最も多いのがアレルギー性紫斑病です。
主に15歳以下に見られ、2~10歳に多く発症します。女の子に比べて男の子の方が約2倍の比率で多く見られます。大人も時々かかることがあります。
その症状の特徴は、少し盛り上がった紫斑で、体や顔ではなく四肢末梢や関節付近の皮膚に多く紫斑が出来ます。局所的にむくみ(クインケの浮腫)ができます。むくみが腸管壁にでると紫斑が皮膚にみられる前に腹痛が起こることがあります。
また、小児では関節痛がよくみられます。腎臓病(紫斑病性腎炎)を併発することもあります。ウイルスや細菌感染症にかかった1~3週間後の発症が典型的な発症例です。薬剤や食べ物のアレルギーなどからの発症もあります。
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
原因不明の血小板数が減少する病気で厚生労働省が難病に指定している病気の1つです。
血小板は骨髄でつくられる血液成分で血液中に存在する凝固作用を持つ成分で止血に関与するため、その数が減ると種々の出血が起こり、皮膚に表れる紫斑以外にも口腔、鼻血、血便、血尿、月経過多、脳出血を引き起こします。
ITPには、急性型と慢性型があり、急性型は病気が起こってから半年以内に血小板数が正常に回復します。小児では急性型が約8割で性差はありません。
急性型は、ウィルス感染や予防接種が原因となる場合が多いと言われます。一方、慢性型は20~40歳の成人に多くみられ、男女比は女性の方が2~4倍多いです。
慢性型は、その原因のほとんどが特定できていません。適切な治療を受ければ一般の日常生活に制限をする必要はありませんが長期治療や経過観察が必要なので長く付き合う姿勢が大切です。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
全身の細い動脈が血栓により詰まることで起こり、1.血小板減少症、2.溶血性貧血、3.腎機能障害、4.発熱、5.動揺性精神神経症状が起こります。
先天性と後天性があります。
先天性は遺伝子の異常で起こり、後天性のものは、特発性(原因不明)と二次的要因で起こる場合があります。
単純性紫斑病
点状の出血斑が多数表れ出血斑が様々な場所に拡がります。20代の女性に多く見られる疾患で四肢、特に下腿や臀部に点状の出血斑が拡散します。
その症状の特徴として、出血斑の形は平らでしこりはありません。かゆみや痛みを伴うことはほぼありません。全身症状もなく合併症の危険や重篤になるケースもありませんが色素が沈着して痕が残り後遺症となる場合があります。
発症の原因は明らかでありません。ほとんどが数週間で良くなりますが再発の多いのも特徴ですので注意が必要です。春と秋に多く発症する傾向、疲労を感じている時や月経時に症状が悪化する傾向があります。
また、高齢者やステロイドを使用している人にみられます。血液検査で異常が認められることが少ないため毛細血管の弱さが関係していると考えられています。斑の出現が血管や血小板の異常など重い病気の前兆のこともあります。
また、特定の物質に対するアレルギー反応が原因のものもあると言われ、アレルギー性紫斑病の軽症型と判断されることもあり、他の紫斑病との区別が大切です。
特に初期のアレルギー性紫斑病との区別が難しいので紫斑が表れたらすぐに病院で検査を受けましょう。
電撃性紫斑病
先天性プロテインC/プロテインS/アンチトロンビン欠損症があり、血栓症をおこし起こります。新生児では、播種性血管内凝固症候群(DIC)を起こし重症になる場合があります。
老人性紫斑病
原因は、老化により血管が脆くなることにあります。そのため軽い衝撃が加わっただけで皮下出血を起こしやすくなり起こります。血管の損傷部分が塞がるまで時間がかかり大きな紫斑になることもあり、紫斑が消滅するまでは1ヶ月近くかかるのが一般的です。
できる場所は腕や手の甲、顔面が多いです。何気ないことでも紫斑ができてしまうので注意が必要です。ほとんどの場合、痛みはありません。
紫斑病の2つの原因
紫斑病の原因は、血小板減少か機能異常から起こる(血小板減少性紫斑病)場合と血管の何らの異常から起こる(血小板非減少性紫斑病)場合の2つです。
血小板が減少する場合
ITPにおける血小板減少のメカニズムは、自己抗体(自分自身を破壊する抗体)が体内で作られることから始まります。
自己抗体(ここでは血小板抗体)は血小板と結合して脾臓に取り込まれると脾臓のマクロファージ(免疫担当細胞)により異物と認識されて破壊されます。さらに、自己抗体は血小板を造る骨髄の血小板産生を阻害します。
この自己抗体の血小板の破壊亢進と産生低下の2つの作用により血小板が減少しますが、何故自己抗体が産生されるかは明らかになっていません。
TTPにおける血小板減少のメカニズムは、全身の細動脈や毛細血管に微小な血栓ができることから始まります。この血栓形成に血小板が多量に消費されることで血小板が減少しますが、何故血栓が多量にできるのかは明らかになっていません。
血管に原因がある場合
アレルギー性紫斑病は、免疫(IgA抗体)の異常と関連したアレルギー反応によって血管に炎症が起こることが原因と考えられています。単純性紫斑病もアレルギーが関与する場合があると考えられていますが、詳細は解明されていません。
電撃性紫斑症は、新生児の場合は先天性プロテインC欠損症が原因です。先天性プロテインC欠損症とは血液の凝固を調節するタンパク質であるプロテインCが欠損することで血栓ができやすい状態になる疾患です。大人の場合は他の疾患が原因となることが多いです。
老人性紫斑症は、加齢現象によるものです。
紫斑病には4つの治療法を試してみて
紫斑症は原因が明らかでないものが多く他の疾患が原因で起こることもあり、紫斑病の治療としての特効薬はありません。
しかし、それぞれの症状にあった治療法はありますので紫斑を見つけたら、まずは病院へ行って医師の診察を受けて適切な治療を受けましょう。以下に、病院で行われる治療法についてご紹介します。
アレルギーが原因の紫斑病の場合
アレルギーが原因と考えられる場合は、きっかけとなった感染症の治療のための抗生物質が処方されます。関節痛などの痛みにはアセトアミノフェンや湿布など処方されますが症状が重い場合はステロイドが処方されることがあります。
血小板数が低下している紫斑病の場合
血液検査をして血小板数を確認します。
血小板数が低下していれば骨髄検査を行います。
血小板数が低すぎて止血が困難と考えられるレベルならば、血小板輸血やステロイドの大量投与、免疫グロブリン大量投与、血漿交換などを行います。
ITPの方
ITPの方でピロリ菌陽性の方は、ピロリ菌の除菌を行うと半数以上が血小板数増加を示すとの報告があることから除菌療法を行ないます。
特に治療が必要でない場合
単純性紫斑の場合は、比較的症状の経過が良好な病気なので心配ありません。必ず特別な治療を行わなければならないわけではありません。症状によって血管を強化するためにビタミンCなどの薬を処方される場合があります。
まずは安静にすることが大切です。過度な運動は血管にダメージを与え症状が悪化するので控えます。一度消えても再発する可能性が高いので経過をよく観察する必要があります。
老人性紫斑病の場合は、老化性によるものなので特に治療法はありません。なりにくい体づくりをすることが大切です。健康な皮膚を保つことです。そのために良質なタンパク質ビタミンCの摂取を心がける必要があります。また、衝撃をできるだけ受けないようにすることも予防策です。
ビタミンCの摂取についてはこちらも参考にして下さい。
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