川崎病の後遺症が残る確率は?【大人の症状はコレ】
川崎病は子供の難病と言われ、毎年1万人以上が発症する病気です。
きちんと治療すれば治りますが、成人してから、後遺症が現れる場合もあります。幼い頃、川崎病を患った方は要注意かもしれません。
今回は大人になってから現れる川崎症の後遺症とその確率についてお伝えします。
川崎病の後遺症が残る確率
川崎病とは
川崎病とは、川崎富作という日本人医師が発見した病気の名前で、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群ともいいます。
川崎病は、0〜4歳児で発症することが多い、全身の血管に炎症が起こる病気です。
主な症状としては、次の様なものが知られています。
✅ 手足の先が赤く腫れ、指先の皮がむける。
✅ 原因不明の発熱。
✅ 舌表面が苺の様にブツブツになる(いちご舌)。
✅ 皮膚に出来る様々な大きさの発疹。
✅ 両目の充血。
✅ 首のリンパ節が腫れる。
また、症状がすべてでない場合も、不完全型の川崎病と診断されることがあります。
さらに、川崎病は合併症を引き起こすことで知られています。肝機能異常や、脳に十分な血液がいかなくなるモヤモヤ病、関節痛などが引き起こされる関節炎、そして心筋梗塞です。
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川崎病の治療
川崎病が発症した場合は、入院して治療を行います。通常、アスピリンと同時に免疫グロブリンを大量投与し、症状の緩和します。
もし、薬の効果が弱い場合は、ステロイドパルス療法を実施することもあります。
ほとんどの方は治療をすれば、症状は改善し、後遺症なしに治癒します。ですが、様々な理由が原因となって、ある割合で後遺症が現れることがあることも事実です。
後遺症についてはこの次から詳しく説明いたします。
大人の後遺症の確率
川崎病は、いったん治ったと思っても、患者の3〜10%に後遺症が発生します。後遺症と言っても、川崎病を患った後すぐに出るものばかりではありません。
川崎病を経験されている方は、症状が治まったからといって安心して治療が不十分なまま放っておいたりすると、数十年後に急に症状が現れたりすることがあります。
いつ後遺症が発症するかというのは人それぞれですが、子供の頃に川崎病を患った後、治療を途中でやめてしまった方はリスクが高まります。
約10%という割合は相当多いと考えてください。川崎病の既往歴がある方は、もう一度治療歴を確認してみてください。
それでは、川崎病の大人の後遺症にはどんな症状があるのか、このあと詳しく見てみましょう。
川崎病の後遺症で起こる大人の症状
川崎病は主に子供の病気ですが、その後遺症が大人になってから発症することがあります。
冠動脈瘤による狭心症
川崎病の怖いところは、心臓近くの冠動脈で強い炎症が起こりやすいということです。
冠動脈は心臓に酸素や栄養を運ぶ役割がある、2〜3mm程度の動脈で、心臓を覆うように走っています。後遺症の症状はこの冠動脈に関連して起こることが多いです。
川崎病で炎症を起こした血管は、その結果血管の壁の一部が破壊され、血管の拡張(血管が広がる)が起こったり、血管に瘤ができたり、血管の壁が厚くなって血管が細くなってしまうこともあります。
特に、血管に瘤ができてしまうと、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が送られず、心臓の機能が低下してしまいます。この状態を狭心症と呼びます。
具体的な症状としては、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる、胸が焼けつくような感じ、などがあります。
狭心症の症状は長くても15分ほどで消えてしまうことが多いです。
急性心筋梗塞
先ほどご説明した冠動脈瘤などにより血管が狭くなったところに血栓ができてしまうと、急性心筋梗塞が起こります。
心筋梗塞の場合は、血液の供給が途絶えてしまうので、心臓の細胞の一部が壊死してしまいます。
具体的には、狭心症と同じような胸部の痛みが15分以上続くほか、呼吸困難、冷や汗、顔面蒼白、血圧の低下、脈拍の上昇などが見られ、ひどい時には意識不明に陥ることもあります。
心筋梗塞は処置が遅れてしまうと死亡することもあります。15分以上胸の痛みが続く場合はすぐに治療を受けるようにしましょう。
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注意したい症状(難聴・頭痛・胸痛・腹痛)
症例はまだ少ないですが、血管以外に後遺症が出る方もいます。
原因ははっきりわかっていませんが、川崎病が発症した際に高熱が続いた方は難聴になる例が報告されています。
また、川崎病にかかったことがある方で頭痛、胸痛、腹痛の症状が見られる方は注意してください。
頭痛、胸痛などの痛みは脳や心臓付近に動脈瘤ができている、あるいは血管が狭くなったり詰まったりしている兆候かもしれません。
早めに医療機関を受診して、血管の状態の検査をしてください。
川崎病の後遺症の治療方法
実は、川崎病の後遺症は治療可能です。狭心症や心筋梗塞を防ぐためにもしっかりと治療することをお勧めします。
それでは、どのような治療方法があるのかご紹介します。
薬物治療
薬物治療では、瘤を作らせないようにしたり、血管が詰まらないように薬を処方します。
多くの薬は組み合わせで処方されることが多いです。
抗血小板薬
血液が固まるのを防ぎます。例えば、バイアスピリン、パナルジンなどの薬これに当たります。
抗凝固薬
ワーファリンなどの薬品があります。すでに冠動脈瘤ができている患者さんに処方されることが多いです。
抗血小板薬と合わせて服用するケースもあります。
抗血小板薬や抗凝固薬は血液を固まりにくくしてしまうため、鼻血が止まりにくくなってしまう方もいます。
カルシウム拮抗薬
冠動脈が痙攣して縮む状態を予防する薬です。冠動脈の収縮が川崎病の心筋梗塞と関連しているという症例があることから、使用されています。
ベータ遮断薬
心筋の酸素消費量を低下させる薬です。運動することで狭心症が誘発される方に処方されることが多いです。
硝酸薬
血管を拡張させる効果があり、狭心症を予防します。
手術
血管が狭くなることにより、心筋に虚血(血液が行かなくなり、貧血状態になること)が見られる場合は、冠動脈バイパス手術やカテーテル治療がを行います。
バイパス手術というのは、狭くなっている自分の血管の外側に、別の血管を移植して血液を通す方法です。道路のバイパスと同じように、血液にもう一つの通り道を作ってあげます。
カテーテル治療は、狭くなっている部分の血管を広げる治療です。
また、ステントと呼ばれる、ステンレスなどでできた網目構造の筒を狭くなっている部分に置いておくことで、再び血管が狭くなるのを防ぐこともあります。
妊娠を考えている女性は要注意
川崎病の既往歴がある方、または後遺症が発症してしまった方で、妊娠、出産を希望している方は医師の方とよくご相談してみてください。
なぜなら、妊娠中は血液が固まりやすくなり、血栓などを起こしやすい状態になってしまうからです。
心筋梗塞などのリスクが高まり、母体が危険な状態になってしまいかねません。
冠動脈がすでに狭くなってしまっている方は特に注意が必要です。場合によっては、手術を受けてからの妊娠を検討した方がいいかもしれません。
よく、主治医と相談するようにしてください。
川崎病の後遺症の予防方法
川崎病というのは、血管の炎症が引き起こされる病気であることを説明いたしました。
つまり、たとえ川崎病の症状が改善したとしても、一度傷ついた血管の壁は異常が起こりやすい状態となっていると言えます。
そのため、動脈硬化や血管の老化などが早まる危険性もあるとされています。
また、冠動脈が通常の人よりもつまりやすいと考えられます。そのため、生活習慣病を予防することが非常に重要です。
食事内容に気をつける
川崎病の後遺症を防ぐには、食事内容が非常に重要です。血液がドロドロになってしまうと血管は詰まりやすくなります。
食事をとるときは、次のことに気をつけるようにしてください。
バランスの良い食事を心がける
✅ 食べ過ぎない
✅ 動物性脂肪などを避ける
バター、チーズ、チョコレート、肉の脂身などには気をつけてください。
コレステロールの多い食品を避ける
バター、生クリーム、魚卵などは取りすぎないようにしてください。
アルコールやジュース類の取りすぎは避ける
アルコール、菓子、ジュース類は摂取しすぎると中性脂肪を増加させます。
適切な運動をする
ウォーキングなどの軽い運動でもいいですから、普段から運動することを習慣にしましょう。肥満にならないように日常的に運動をすることは、川崎病の後遺症の予防に効果的です。
また、ストレスがたまると心臓や血管の健康に良くありません。運動をしてストレスを解消しましょう。
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喫煙の禁止
タバコに含まれる一酸化炭素は血管の壁を傷けることがあります。また、タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、狭心症を誘発します。
喫煙は中止し、血管の壁を守るようにしましょう。
気になる保険の加入について
生命保険などに加入する場合は、今までかかった病気を報告する必要があることがあります。
川崎病を現在発症している、または後遺症が発症してしまっている方は、その時点からの医療保険加入は難しくなる場合が多いので気をつけて下さい。
ですが、川崎病の既往歴があっても、治療が終わってから最低2年以上、大抵5年以上経てば医療保険に加入可能になる場合が多いです。
川崎病にかかったことがあるから、と諦めずにまずは保険会社に相談して見ることをお勧めします。
まとめ
今回は川崎病の大人の後遺症について取り上げましたがいかがでしたか?
子供の頃に川崎病にかかった経験のある方は、そうでない方より狭心症や冠動脈瘤、心筋梗塞のリスクが高まります。
特に、子供の時に治療していて、その後治療を中断してしまったという方は注意してください。治療・退院後も、定期的に検診を受けるのが理想的です。
川崎病の場合は、忘れた頃に後遺症の症状が出るということが往々にしてあります。
特に心筋梗塞は死亡するケースもあり、十分警戒していただきたいです。
少しでも不安な方は、循環器内科のある病院などを受診して、川崎病であったことを伝えて、適切な検査を受けてください。
また、胸痛や腹痛、顔色不良などの症状が見られた場合は、すぐに医師の方に相談するようにしてください。