涙が出ないのは心の病気?【隠れた心理を解説】
<監修臨床心理士 鈴木崇弘>
皆さんは、どのような時に涙が出ますか?感動する映画を見た時、失恋した時、親や恋人が亡くなった時、ペットが命を落としてしまった時など、悲しい気分の時に人間は泣くという行為をします。
他の人がみんな泣いているのに私だけ涙が出ない、泣きたいけど泣けない、そんな体験をしたことがありませんか?
あなたの涙が出ないのは、あなたに感情がないからではありません。その原因は、心の病気にある可能性があります。
今回は、泣きたいけど涙が出ない、そんな場合の病気や心理について解説していきます。
涙が出ない4つの原因と病気
お葬式など悲しい出来事が起こった時、感動的な結婚式に出席した時、あなたは泣けますか?泣きたいくらいの気持ちなのに泣くことができない、と言うことはありませんか?
どうやって泣けばいいのかわからなくなり、周りから感動しない、冷たい人と思われないかと不安になったりしませんか?
ここで気をつけていただきたいのは、「泣かない」と「泣けない」は別ということです。泣くのを我慢しているのが「泣かない」、つまり我慢しなければ泣くことができます。
ですが、「泣けない」というのは、どうやったら感情が涙になるのか、心と体がうまく働かず、わからない状態になってしまうことです。
悲しいのに涙が出ない原因は一体なんなのでしょうか。その心理や精神病の可能性を一つずつ解説していきます。
性格
普段から責任感が強い方や、ご兄弟の中で一番年上、という方は、性格が影響している可能性があります。
というのも、例えば「一番上なのだからしっかりしなさい」と幼い頃から大人に言われ続けていると、感情を抑制しがちで、強がりな性格になってしまうからです。
男性の方が、「人前で泣けない」と感じるのも同じような理由です。悲しいことや悔しい事があっても、感情を表してはいけないと思ってしまうので、泣けなくなってしまいます。
あるいは、あなたが冷静な性格で、「泣いても解決しない」と思っているからかもしれません。確かに涙を流すとスッキリするのですが、事態が解決するかというとそんなことはありませんよね。
普段から冷静に物事に対処する方は、心のどこかで割り切ってしまっているので、悲しいけれど泣けない、感動しているけれど泣けないということが起こってしまいます。
ドライアイ
あなたの涙が出ない理由は、ドライアイかもしれません。目は、通常涙の膜に覆われていて、これが目の表面を守る働きをしています。
ですが、最近はこの涙の成分が少なくなるドライアイに悩まされる人が少なくありません。ドライアイの原因となるのは、現代の生活習慣と言えます。
1. 高齢化
2. エアコンの使用
3. パソコンやスマホの使用
4. コンタクトレンズの使用
これらの原因によって、そもそも目に涙が少ない状態となるため、涙が出てこないのです。
もし、日頃から目が疲れやすい、目がゴロゴロする、目の乾きを感じる、という方は、一度眼科を受診されてはいかがでしょうか。
ドライアイは、目の表面を保護する涙が不足するため、目が傷つきやすくなってしまいます。眼球の表面に傷ができてからでは遅いので、一度眼科で診察を受けることをお勧めします。
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自律神経失調症
自律神経失調症とは、体の様々な機能を調節している自律神経の働きが乱れてしまっている状態のことを言います。
自律神経とは、自分で意識して動かせる体の部分以外を動かしている筋肉です。
例えば、心臓・腎臓・肝臓・脾臓・胆嚢・小腸・大腸・胃・十二指腸・膀胱・瞳孔・血管・立毛筋・汗腺・子宮・卵巣・嚥下などは自律神経によりコントロールされています。
そして、自律神経には、活動する時に活発になる交感神経と、休息時に働く副交感神経があります。
これら2つの神経は、通常バランスよく働いているのですが、過度のストレスにさらされたり、生活リズムが崩れたりすると、バランスが崩れてしまいます。
自律神経は実に多くの体の働きを支えているので、自律神経失調症になると様々な症状が現れます。
冷え、食欲不振、不眠症、めまい、耳鳴りなど体の症状や、感情が不安定になるなど精神的な症状もあります。自律神経失調症の症状の一つにも、ドライアイがあります。
普段からストレスがたまって、体の調子がおかしい・・・という方は、自律神経失調症によって、涙が出にくい状態になっているのかもしれません。
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うつ病
自律神経失調症と同じく、ストレスが原因でうつ病になってしまうと、涙がうまくでなくなることがあります。
自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れる病気でしたが、うつ病は、脳内の神経伝達物質の分泌異常が原因で、様々な症状が現れます。
うつ病の症状も人によって様々です。うつ病で涙が止まらない、という方もいれば、どうしても涙が出ない、辛すぎて泣けないという方もいます。
泣けないというのは、あなたの心のSOSです。うつ病は、1日2日では治りません。少しずつ、根気よく治療していく必要があります。
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うつ病の第一の原因はストレスです。十分な休養を取って、心と体を休めてあげてください。
泣けない人がかかる可能性のある、緑内障
ホメオパシーという、自己治癒力を使う病気の治療法があります。今から約200年前にドイツのハーネマン医師が確立させた治療法です。
人間は自分で自分を治す能力があり、それを最大限に引き出すという方法です。
緑内障という目の病気を耳にしたことがあると思いますが、これは、目の眼圧が上がり、視野の一部が欠けてしまう病気です。症状がひどくなると失明の危険性もあります。
ホメオパシーでは、泣きたい時に泣かない人や泣けない人の行き場を失った涙が原因で眼圧があがり、緑内障になると考えられています。
泣きたい、泣いてもいい、と思っている時に泣けないのは、心だけでなく体にもストレスになってしまいます。
涙が出ない時はどうすればいいのか、次の項目で詳しく説明します。
涙が出ない時はどうすればいいの?
涙が出ないという方の中には、「最後に泣いたのがいつだったか思い出せない」という方もいるのではないでしょうか。
涙を出す、という行為をしばらくやっていないと、体も泣き方を忘れてしまいます。
肩こりのように筋肉が凝り固まって、動かしにくくなってしまうのです。涙が出ない時は、自分の心を少しずつ解放してあげるようにしてください。
自然の景色を見る
自然の美しい景色というのは、五感に働きかけます。実際に、外に出て美しい景色と出会うのが一番です。
海、山、森、川、空、星、夕焼けなど、自然を感じられるところに出かけてみましょう。
出かけるのが難しい、という方は、写真集やパソコンでも構いません。自分の好きな自然の景色を探してみてください。そして、深呼吸をして、雄大な自然の写真を見てみましょう。
音を聞く
テレビを消して、自分の周りの音を聞いてみてください。生活音や、鳥や虫の鳴き声、近くの木が揺れる音、子供達の声など、耳を澄ませるといろいろな音が聞こえませんか。
おすすめなのは、You Tubeなどで自然の音を収録した音源を聴くことです。何も考えずに、目を閉じて音に囲まれてみましょう。
アロマをたく
もし、お気に入りのアロマやお香があるなら、ぜひ焚いてみてください。自分の好きな香りに包まれると、心がリラックスします。
何を使ったらいいかわからない、という方は、ラベンダーやジャスミン、ローズ、そしてクラリセージ、ネロリなどを使ってみてください。どれもリラックス効果や気持ちを鎮める効果があります。
お風呂
ぬるま湯にゆっくり浸かるようにして、体の緊張をほぐしましょう。心だけでなく、体も緊張していると自分の気持ちをうまく解放できません。
ゆっくり体を温めて、血行を良くすることで、心も体も解きほぐすことができます。
自分の感情を出せる場所を作る
社会に出ていると、何でもかんでも自分の思い通りになるわけではありません。
自分の感情を抑えなければならないことも多いはずです。ですが、我慢ばかり続けていては、心も体も壊れてしまいます。
この人の前では自分を抑えなくていい、という人をぜひ見つけてください。そしてできれば自分も、誰かをありのままに受け止めてあげるような人間関係を作ってください。
なお、泣くときは、何も人前である必要はありません。人前ではどうしても泣けない、という方もいらっしゃるでしょう。
そういうときは、自分が一人になれる場所、自分の感情を出せる場所を作ってみましょう。
まとめ
「感情を表に出すのはみっともない」という考え方が日本には古くからあります。ですが、「泣く」という行為は、実はストレス解消になるのです。
最近、「涙活」という言葉を耳にすることがありますが、わざわざ泣く人がいるほど、効果のある方法なのです。
そして、なんだか泣けない、泣き方がわからないと思い始めたら、ストレスがかかりすぎているサインかもしれません。
自分のリラックスできる方法や場所を見つけてみてください。そして、どうしても自分では難しいかもしれないと思ったら、病院で相談するのも一手ですよ。
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