誤嚥性肺炎の症状と治療法をどこよりも分かりやすく解説!
<監修医師 ドクターTST>
現在、脳血管疾患を抑え日本人の死因第3位に上昇した肺炎。
その中でも特に高齢者に多い誤嚥性肺炎。
老化に伴い自然に食事を嚥下する機能が低下する事、
脳血管疾患の後遺症により食事を飲み込む力が低下した事などが原因で起こりやすいと言われています。
また高齢者の場合基礎的な体力も弱っている事が多いために、肺炎を発症後の体力の消耗は著しいものがあり大変危険な疾患といえます。
今回は誤嚥性肺炎の症状、その治療をご紹介します。
気になる所から確認してみよう
誤嚥性肺炎とは?
健康な人であれば、食事を口に運んだら噛んで飲み込む動作を自然に行う事が出来ます。
しかし、噛む力の弱くなった高齢者の方は食物を上手く飲み込めるように噛む事が出来ない事があります。
更に飲み込む力も弱っているため、本来ならば飲み込む時に気道が自然に閉鎖し、
食物が食道から胃へ運ばれるのですが、上手く気管の入口が閉鎖できず、呼吸器である気道に食物が落ちてしまう事があります。
その後誤嚥した食物によって細菌による感染症を起こし始めます。それが誤嚥性肺炎です。
また嘔吐した食べ物が胃液と共に誤って食道を逆流した場合にも生じます。
誤嚥性肺炎の症状
高齢者に多い誤嚥性肺炎。ですが、離乳食を始めたばかりの乳児などにも起こり得る疾患です。
子供の場合、言葉でうまく表現できないため注意が特に必要です。
風邪かな?と気づかずに放置すると命に関わる危険性があります。
そこで、誤嚥性肺炎の症状をいくつかご紹介します。
誤嚥性肺炎の症状を知る事で重症化になる前に対処する事が出来るでしょう。
ゴロゴロとした痰の絡んだような咳が増える
高齢者の場合、筋力が低下している為に多量に溜まった痰を自分で咳をして出すことは困難でしょう。
乳児も同様に自分で咳をして上手に痰を出せない場合も多いでしょう。
咳も出せない程筋力が弱っている場合もありますので、咳が無いからと安心するのは危険です。
痰が多量にある場合は、吸引などの処置を受けて速やかに呼吸の邪魔になっている痰を排出する必要があります。
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痰の色が透明ではない
痰の色が無色透明でなく、黄色・緑黄色がかっている場合細菌感染を起こしている可能性があります。
また、ゴロゴロと苦しそうな痰の絡んだ咳をしたり、出した痰が汚い場合も誤嚥性肺炎を疑うと良いでしょう。
発熱が続いている
必ずしも高熱ではなく37度台の微熱が続く場合もあるので注意が必要です。
4日以上もだらだらと熱が続く場合も要注意です。
しんどそう、機嫌が悪い、食欲がない
高齢者でも認知症であったりする場合などでは、正確に相手の状態を知るのは難しいでしょう。
言葉を話せない乳児も同様に難しいでしょう。
その場合、機嫌が悪そうだったり、ぐったりして元気がない、食欲がないなどのサインを見逃さないようにしましょう。
指先が冷たく、唇も色が悪い
指先が冷たく、唇の色や爪の血色が青白ければチアノーゼを起している場合もあります。
呼吸状態がかなり悪化している可能性がありますので速やかに診察を受けるようにしましょう。
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誤嚥性肺炎の治療法
呼吸器の炎症である誤嚥性肺炎では呼吸そのものが困難になるので、息苦しく、非常に治療中も苦痛が伴います。
迅速に治療を始める事で体力の消耗を抑え、生命の危険を回避する事が出来ます。
そこで誤嚥性肺炎の治療方法をいくつかご紹介します。
抗菌薬の投与
痰、血液、尿を採取して、その中にある病原菌の種類を特定します。
原因菌が様々あり感染している菌も1種類とは限りません。
それによって使用する抗菌薬を決定します。症状の程度によって経口抗菌薬か点滴投与か判断します。
経口での投与が難しい場合は抗菌薬を点滴します。嚥下障害のある場合は基本的には抗菌薬の点滴が一般的でしょう。
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痰を吸引する
溜まった痰が多量となり、呼吸が出来なくなる場合があります。
また上記でも述べましたが、高齢者や乳児の場合自分で痰を出せない場合もあります。
痰が多量に気道内に溜まると気道を狭めてしまうので酸素を十分に取り入れる事が出来ず、意識障害が起こる可能性があり命にも関わる危険性があります。
脳に酸素が行き渡らないと重篤な後遺症の原因ともなります。
また肺に溜まった痰も気道から入って来た酸素を取り入れる邪魔になり、結果呼吸状態の悪化につながります。
溜まった痰は定期的に吸引器で取り除くことが呼吸状態の安定にとって重要になります。
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酸素を吸入する
痰が多量に溜まっている場合などでは、徐々に呼吸状態の悪化が見られます。
そのままでは酸素を十分に取り入れる事が困難になっているので、入院先などで酸素を吸入する事になるでしょう。
呼吸状態によって酸素濃度も変わります。
吸引で痰を取り除きつつ、酸素を吸入し、安定して酸素を取り込めるようにします。
絶食する
何度も誤嚥性肺炎を起こす患者の場合、医師から絶食指示が出る場合があります。
嚥下機能を強化するためのリハビリを行った後に、絶食指示が解除されることもありますが、老化が原因で嚥下機能そのものが低下してる場合は長い時間がかかります。
絶食指示中は抗生剤や点滴による栄養補給が行われますが、体重の減少などは免れません。
治療期間はどれくらい?
誤嚥性肺炎の治療自体は、一週間ほどで終わります。
ただし患者に高齢者が多く、誤嚥性肺炎は合併症を引き起こしやすいために全ての病気を複合的に治さなければいけない場合は治療期間が延びます。
また治療しても再発する可能性は大いにあり得るため、引き続き注意が必要です。
予防方法はある?
誤嚥性肺炎を防ぐためには、「食事の改善」「食事環境の改善」が不可欠です。
とろみをつけた流動食や柔らかい食感(具の内茶碗蒸し)の食べ物など、相手の体力に応じた食品選びが重要です。
酢の物やナッツなど、むせやすいものは避けた方が良いでしょう。
食事環境ですが、寝たままで食べると食道を食べ物が通過しにくくなるので、ベッドから降りられない場合でも背を上げるなどの処置が必要です。
また「ながら食べ」は嚥下を阻害する要因ですから、食事に集中するためにもテレビを見ながらの食事はやめるようにしましょう。
食事以外にも、最近の研究では血圧降下薬が誤嚥性肺炎の予防に効果があるというデータがあります。ただし血圧に問題がある人の場合は使用できません。
呼吸状態が悪化すれば命に関わります。ですので、誤嚥性肺炎だと思ったら迅速に治療しないといけません。
一番重要なのは、誤嚥性肺炎を発症しないように老人の場合は看護する人間が注意を払うことです。しかし何が原因で誤嚥性肺炎が起きるのか知識を持っているだけでも、いざという時に迅速に対応できます。
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