防風通聖散の効果に感激!【副作用やダイエット向きな理由を解説】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
「防風通聖散」というと、“痩せる漢方薬”のイメージがありますが、便秘や肩こり等、他にも様々な効果が期待出来る漢方薬です。
なぜダイエットに向いているのか、その効果や副作用など、詳しく解説していきます。
気になる所から確認してみよう
防風通聖散とは?
漢方は中国から生まれた体系医学であり、日本にも古くから伝わり、独自の発展を遂げています。
その中でも防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、18種類の薬草が配合されている漢方で、身体の熱を冷まし、病因を発散させるような働きがあり、身体の水分循環を改善し、便通をよくする作用もあります。
主に体力のあるメタボ腹の肥満タイプで、便秘がちの方に向く漢方です。
特に、肥満症、便秘、尿量減少、むくみ、のぼせ、肩こり等に用い、その症状を伴う高血圧症や腎臓病、糖尿病等にも使用されます。
又、脂肪細胞機能を改善し、食欲増進ホルモンのグレリンを抑制する事で、食欲を抑え、ダイエットに成功することが出来る!という研究発表もされた女性には特に嬉しい漢方薬です。
漢方の飲み方は、通常顆粒の場合は、食前もしくは食間(空腹時)にお湯に溶かしてから飲むようにすると良いですが、むかつく時は水で飲んでも良いようです。
又、もし食欲がなかったり、吐き気を催す場合は、食後でも構いません。暫く飲んでも効果がない場合は、医師に相談しましょう。
防風通聖散の効果に感激!
防風通聖散は、様々な疾患にも効果があるとされていますが、製造元によって効能の記載も様々なようです。
ツムラ他
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症状
✅ 高血圧の随伴症状( 動悸、肩こり、のぼせ )、肥満症、むくみ、便秘
コタロー漢方製薬
脂肪太りの体質で、便秘し、尿量減少するもの
✅ 常習便秘、胃酸過多症、腎臓病、心臓衰弱、動脈硬化、高血圧症、脳いっ血 これらに伴う肩こり
三和生薬
脂肪太りの体質で、便秘あるいは胸やけ、肩こり、尿量減少等が伴うものの次の諸症状
✅ 肥満症、高血圧症、常習便秘、痔疾、慢性腎炎、湿疹
用法用量
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。
尚、年齢、体重、症状により適宜増減する。用法用量は症状により異なりますので、医師の指示を必ず守って服用しましょう。
防風通聖散がダイエット向きな理由
公式に医療の現場で使用され、医学的にも痩せる効果が期待される原因はどんなものがあるのでしょう。
3つの作用
防風通聖散は、古くから肥満症の方に処方される漢方で、3つの作用が期待出来ます。これにより、新陳代謝を高め、痩せる効果も高くなるようです。
✅ 発汗作用
✅ 利尿作用 ✅ 便通作用 |
4つの効果
防風通聖散を飲むことで、配合された様々な生薬が効果を発揮し、多方面からダイエットにアプローチをしてくれますので、これらの効果を効率的に活用すれば、今までダイエットしても痩せにくかった人が痩せるかも?しれません。
✅ 飲むことで体温を高め、基礎代謝をアップして脂肪燃焼効果を高め、痩せやすい体質にする
✅ 排便を促進し、便秘を改善することで腸内環境を整える
✅ 排尿促進によりむくみを解消
✅ 3つの作用(発汗、利尿、便通)によるデトックス効果で、体内の毒素や脂肪を汗や尿、便として身体の外に排出し、ダイエット効果のみならず健康や美肌にも良い影響を与える
市販でも気軽に購入出来る
防風通聖散は、そのままの名前でツムラやロート製薬、クラシエ薬品などから販売されていますが、各企業で「ナイシトール」や「コッコアポ」という名前でも販売されています。
商品によって有効成分の含有量や吸収率など効果の出方が違うので、有効成分が多く配合され、吸収しやすい商品を選びましょう。満量処方の記載があること、錠剤よりは顆粒、などが選ぶ際の目安となります。
防風通聖散に副作用はあるか
漢方薬は比較的副作用は少ないと言われていますが、軽いものから重いものまで様々な副作用がありますので、初期症状等にご注意ください。
偽アルドステロン症
配合生薬の“甘草”の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり、血圧が上がる事があります。
エフェドリンやテオフィリン等の交感神経刺激作用のある薬との併用は慎重に行い、他の複数の方剤の長期併用時など、飲み合わせにも念のため注意が必要です。
✅ 主な症状 : だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・震え、脱力感、低カリウム血症
間質性肺炎
肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称です。階段を上ったり、少し無理をしたりすると下記の症状が急にあらわれたり、持続したりする。
✅ 主な症状 : から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱
肝障害
肝臓の重い症状です。
✅ 主な症状 : だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色
その他の副作用
✅ 主な症状 : 消化器系 :胃部不快感、食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、腹部膨満感
皮 膚 系 :発疹、発赤、かゆみ
精神神経系:めまい
そ の 他 :動悸、発汗、むくみ、頭痛、不眠、発汗過多、尿が出にくい、イライラ感
服用後上記の様な症状があらわれた場合は直ちに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
服用に注意が必要な人
防風通聖散は体力が充実している方向けの方剤なので、胃腸の調子が悪い人、発汗が多い人には向きません。
又、“麻黄”には、心臓や血管に負担をかける交感神経刺激薬のエフェドリン類が含まれる為、高血圧や心臓病、脳卒中既往等、循環器系に病気のある人は慎重に用いる必要があります。
防風通聖散の18種類の生薬を紹介
漢方薬は、生薬(天然に存在する薬効を持つ産物から、有効成分を精製することなく体質改善を目的として用いる薬の総称)の組み合わせで出来ています。
防風通聖散は、金時代の“宣明論”という古典書で紹介され、主薬の「防風」と、聖人を意味する「通聖」にちなんでいます。全部で18種類もの生薬が配合されており、これらが一緒に働くことでより良い効果を発揮します。
✅ 防風(ボウフウ)
✅ 黄ごん(オウゴン)
✅ 大黄(ダイオウ)
✅ 芒硝(ボウショウ)
✅ 麻黄(マオウ)
✅ 石膏(セッコウ)
✅ 白朮(ビャクジュツ)
✅ 荊芥(ケイガイ)
✅ 連翹(レンギョウ)
✅ 桔梗(キキョウ)
✅ 山梔子(サンシシ)
✅ 芍薬(シャクヤク)
✅ 当帰(トウキ)
✅ 川きゅう(センキュウ)
✅ 薄荷(ハッカ)
✅ 滑石(カッセキ)
✅ 生姜(ショウキョウ)
✅ 甘草(カンゾウ) ※甘草は 約8割の漢方薬に含まれています。
これらは、病因を発散して治す発散性の生薬や、熱や炎症を冷ますもの、便通を良くするもの、無駄な水分を取り去るもの、血流を良くするものなどの働きがある生薬です。
防風通聖散は漢方薬ですので基本的には身体への悪影響は少ないですが、その人の体調や飲み合わせなどによっては、副作用等の悪影響を及ぼす場合もあります。
特に、ダイエット目的で服用する場合、飲んだら痩せる!というものでもないので、用法用量を正しく守り、異変に気付いたり、暫く飲んでも効果が得られない場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
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