喉のつかえは【危険な病気かも】甲状腺の異常について!
<監修医師 吉野 聖奈>
喉がつかえが最近気になる。
風邪だと思ってほったらかしにしていませんか?喉のつかえは甲状腺の病気かもしれません!
その前に甲状腺って何?
何科を受診すればいいの?今回はそんな疑問に答えていきます。
喉のつかえの原因
普段の生活からくる一過性の症状
まず考えられるのは、心身にストレスを抱えているのが原因で自律神経が乱れてしまった場合です。
喉のつかえ感はのどや食道の動きが悪くなった時に起こります。
食道は口から入ってきた食べ物を蠕動運動(ぜんどううんどう)によって運び胃に届けます。この動きがよくないとつかえた感じがします。
自律神経は主に不随意運動(ふずいいうんどう)といって本人の意思に無関係の筋肉の動き(内臓の活動や体温の調節など)を司る神経の総称です。
ですから、自律神経が乱れることで食道の蠕動運動(ぜんどううんどう)も乱れてしまった状態です。
ストレスをため込まないように普段から十分な休息を心がけて心身のバランスを取ってあげることで対処出来ます。
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次に、胃酸の逆流です。
一度にたくさん食べたり、アルコールの過剰摂取、消化に悪い食べ物を食べたとします。
そうすると、食堂の下部にある胃酸の逆流を防ぐ筋肉が緩みやすくなります。
そして胃酸が逆流し、胃酸の強い酸によって、食道と喉の粘膜に炎症がおこりこれが喉のつかえ感を起こします。
このケースは食生活を改善すると症状も改善します、できることから少しずつ実践するとよいでしょう。
風邪やインフルエンザなどのウイルス、細菌が感染したときに起こる喉の炎症もあります。炎症により喉が腫れ、異物感をがあります。
さらに、のどの粘膜に直接ウイルスやカビが感染すると、喉のつかえだけでなく胸やけも起こります。
喉の腫れがある時は安静にして、よくうがいをするようにしましょう。
インフルエンザの時はもとより、風邪でも熱が高い・治りが遅いときは内科の病院を受診するようにしましょう。
アレルギーを持っている人は、アレルギーによっても喉のつかえを感じる事があります。
アレルギーによって気管が炎症を起こしている状態で、ハウスダスト、ダニ、スギ花粉が主ですが、食物アレルギー(卵、牛乳、そば、大豆など)によっておこることもあります。
アレルギー物質(アレルゲン)の特定が第一です、まずは病院で検査を受けて特定しましょう。
アレルゲンが判明したら、極力アレルゲンを排除することで症状を抑えることができます。
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飲み込んだ食物が喉に引っかかってしまった場合も考えられます。
幼い子供は、おもちゃなど異物を飲み込んでしまった可能性もあります。
お年寄りや筋力が低下してしまった人は飲み込む力が低下しているため、お餅を詰まらせると呼吸困難に陥る可能性もあります。
いずれも医療機関で緊急処置を受けてください。
機能性胃腸症
機能性胃腸症は機能性ディスペプシア、機能性胃腸障害とも呼ばれ、潰瘍や炎症といった疾患(器質的疾患と呼びます)が起こっていないにもかかわれず、胃もたれ、吐き気、嘔吐、胸やけ、等の症状が出る病気です。
具体的には、食後のもたれ感や食事を始めてすぐに胃がいっぱいな感じがして食事が進まなくなる、みぞおちの痛み・圧迫感、みぞおちの焼ける感じです。
近年になり、機能性胃腸症と呼ばれるようになりました。
以前は慢性胃炎、神経性胃炎と呼ばれていましたが、炎症を起こしていない、炎症はあっても症状と結びつかないこと等から確立された名称です。
食直後の膨満感や、みぞおちの焼ける感じなどと並行して喉のつかえが起こります。
原因を特定するには胃カメラによる検査が必要です。
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神経性胃炎
つぎは、胃に炎症が起きている場合です。
精神的なストレスや緊張、疲労が原因で自律神経がバランスを崩すことによって胃酸が過剰に分泌されます。
喉がつかえる、胸やけ、胃の痛みが起こります。
市販薬・漢方などで対処できることもあります。受診する場合は消化器系内科がおすすめです。
胃食道逆流症(GERD)・逆流性食道炎
暴飲暴食の習慣や肥満、加齢などが原因で胃酸や食べたものが逆流し喉のつかえや胸やけを起こす疾患のことを総称して胃食道逆流症(GERD)と呼びます。
同様の症状で食道の炎症をがあるものを逆流性食道炎と呼びます。
生活の改善でよくなる事もありますが、早めに医療機関で受診しましょう。
扁桃炎
喉の奥の扁桃が炎症を起こして真っ赤に腫れあがります。細菌に感染することにより起こり、悪化すると膿が発生します。
高熱(39~40度)喉のつかえと痛み、物を飲み込むときの異物感などがあります。
安静にしていると、通常1週間前後で治まります。
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更年期障害
更年期障害によっても喉のつかえが起こります。
食べ物は大丈夫なのにつばを飲み込む時は違和感がある。実際には何もなくても喉に異物感があると感じる状態です。
この症状は、普段からストレスを抱えている人に多く見られ他にも頭痛・頭重感、胸が詰まる、心臓がどきどきする、気持ち悪い、などの症状を持っていることがあります。
更年期障害は障害という名前こそついていますが、いわゆる不定愁訴(ふていしゅうそ、原因が特定できない不調)を広くさす言葉です。
重大な病気ではありませんが、つらい症状が続きます。ストレスを溜めない生活を心がけるのが大事です。
薬物療法でよくなるケースもありますが、漢方やツボなどの東洋医学的な療法が効果を発揮する場合もあります。
喉のつかえは危険な病気の可能性もあり
精神的な原因
喉のつかえや食べ物が飲み込めない、むせる、息苦しい、などの症状は、うつ病や心身症などの精神疾患にもみられます。
心の病気から喉がつかえると、息を飲み込んでしまうことからげっぷが出て不快なこともあります。
胃腸・食道や喉に原因が無い場合は心療科相談してみるのがよいでしょう。
治療法としては、安定剤など薬物を使った治療とカウンセリングによる薬を使わない治療があります。
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咽頭癌(いんとうがん)
咽頭癌は、声帯、声門上、声門下のいずれかに表れます。なかでも、声帯での発症が6割以上を占めます。
自覚症状が喉のつかえ、声が枯れて出にくい、咳が止まらない等です、おなじ声がかれて喉がつかえる症状でも風邪等であれば1~2週間あれば治ります。
声がかれた状態が長く続く時は確認のために検査を受けることをお勧めします。
治療は、放射線治療、外科手術による癌の摘出、抗がん剤などの薬物治療です。
咽頭癌全体の5年生存率は30~50%程ですが、最初期であれば80%以上に上がります。
食道がん
食道がんは、食道の粘膜の表面である上皮から発生します。
発生したがん細胞は大きくなるにつれて上皮より下の層(この場合は外側に向かって)広がっていきます。
さらに食道の外にある、気管・気管支、肺、大動脈、心臓等にも浸潤(浸みるように広がっていくこと)していきます。
喉のつかえ、食道がしみるような感覚、食べたものが食道でつかえる、体重減少、咳、声のかすれ、胸・背中の痛み等の自覚症状が現れます。
診断には、エックス線写真、内視鏡、さらに、超音波やCT、MRI検査でがんの広がり具合を確認することもあります。
治療は、進行度合いによって選択されます、内視鏡治療、手術、放射線治療、抗がん剤などです。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は身体を保護するはずの免疫細胞が自身の身体を攻撃した為に体液の分泌が阻害される病気です。
口や目が渇く、関節が痛い、身体がだるいなどの自覚症状が出ます。
原因は、
✅ 遺伝的要因(病気自体は遺伝することはありません)
✅ ウイルスなどの環境要因
✅ 免疫異常
✅ 女性ホルモンの要因(女性ホルモンは男性も持っています、女性にしかない病気ではありません。)
以上の4つの要因が複雑に関連しあって発症すると考えられています。
治療は、完治することが難しくそれぞれの症状を緩和する、病気の進行を遅くする療法がとられます。
病院の検査で発病を確かめることができます。
甲状腺の病気1 バセドウ病
ここからは甲状腺の病気を見ていきましょう。
まず、甲状腺は、気管を挟み込むようなかっこうで左右から取り囲んでいます。
高さは喉ぼとけの少し下です。腫れてくると首が太くなったようにみえます。
甲状腺から分泌されている甲状腺ホルモンには、身体のあらゆる細胞の代謝を高め活性化する、体温を調節するなど、生命維持に欠かせない物質です。
ホルモンを分泌するための器官を内分泌系と呼び、ここに甲状腺も含まれます。
もし甲状腺の病気かもしれない症状が現れたら内分泌科または内科を受診しましょう。
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症、つまり甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう病気です。
他の甲状腺の病気と同様に女性に多い病気ですが甲状腺の病気の中では男性にも多い病気です。
なぜ甲状腺ホルモンが過剰に作られるのかというと、「甲状腺を異常に刺激してしまう抗体」が身体のどこかで作られます。
この抗体が甲状腺刺激ホルモン(脳下垂体で分泌される甲状腺を働かせるためのホルモン)の代わりに甲状腺を刺激するために甲状腺ホルモンが作られ続けてしまうためです。
そしてこの「甲状腺を刺激してしまう抗体」この抗体が作られる原因はまだはっきりと解明されていません。
このように何らかの原因で自分の身体を攻撃してまうような抗体を自分で作ってしまう病気を「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」と呼びます。
通常、免疫は侵入した外敵を攻撃目標とする抗体を作り健康を維持する仕組みになっています。
バセドウ病患者の15%ぐらいは親族内に同じ病気にかかっている人がいる為、遺伝的な体質も関係しているといわれています。
発症すると血液内の甲状腺ホルモン量が異常に増加するので血液を調べればわかります。
バセドウ病の症状は主に3つあり、甲状腺の腫れ、眼球突出(目玉が飛び出す)、甲状腺ホルモンの過剰によつて起こる症状です。
甲状腺ホルモンに過剰で起きる症状とは、疲れやすい、動悸(心臓がどきどきする)息切れ、多汗、精神不安、空腹感、やせる、ふとる、暑いなどです。
治療は、根治は難しいと言われ、血液中の甲状腺ホルモンの量を調節することにより症状を抑える事です。
ホルモン量が正常であれば健康な人と全く変わらない暮らしができます。
甲状腺の病気2 慢性甲状腺炎(橋本病)
橋本病も自己免疫疾患、つまり自分の身体を攻撃してしまう抗体によってもたらされます。
どのような原因でこの抗体が作られるのかはまだわかっていません。
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ、甲状腺に炎症が起こる病気という事ですが、この炎症が自己免疫の異常で起こっています。
橋本病の主な症状は、甲状腺の腫れ、甲状腺機能の低下(甲状腺ホルモンの不足)による症状です。
甲状腺の機能が低下すると、むくみ、皮膚の乾燥、寒い、食欲の低下、太る、無気力になり頭の回転が鈍くなる、月経や妊娠の異常等の症状が出ます。
甲状腺の組織成分に対する抗体があれば橋本病です、血液検査で調べることができます。
治療は薬物治療で、身体で作る事が出来なくなっている甲状腺ホルモンを補う事で正常な状態に戻します。
甲状腺機能自体に異常がある場合は別の治療が必要です。
甲状腺がん
甲状腺に出来るしこりは、機能異常を伴わないことが多く悪性であっても根治出来るとされます。
甲状腺の腫れには、全体的に腫れが出る「びまん性甲状腺腫」と部分的なしこりが出来たような腫れの「結節性甲状腺腫」があります。
このしこりのうち約20%が「がん」です、甲状腺の「がん」は進行が遅く治りやすいといわれています。
しこりがある以外に自覚症状が出ないため、病院でのエコー検査などでわかります。
良性の場合は放置しても問題にならず、ホルモン薬等で小さくすることも可能です。
悪性の場合は手術によって取り除きます。
甲状腺の異常の予防法
病気が疑われる症状があるときは病院を受診するのは当然としても、自分で出来ることで予防や治療の補助になることがあります。
まずストレスを溜めない、バセドウ病も橋本病も自己免疫疾患で原因ははっきりしていないことはお伝えしました。
ですが実はストレスも原因の一つと言われています。まずは休養をしっかり取りましょう!
ストレスは精神的な問題以外にも、病気のきっかけになり得る活性酸素を過剰に発生させてしまいます。
さらに活性酸素を除去するために抗酸化力のある食べ物を取るとより効果的といえます。
具体的には、バナナ、キャベツ、かぼちゃ、人参、ニンニク、生姜、蕎麦、大豆(納豆が手軽です)、緑茶(紅茶、ウーロン茶、ココア、コーヒーでも効果が期待されますが抗酸化作用が一番強いのは緑茶です)、アボカド、ベリー類(ブルーベリー、ラズベリーイチゴ)、アボカド、アーモンドなどです。
何事にも予防は習慣がいのちです!
いきなり大きなことをやろうとして3日坊主になるよりも、小さなことをずっと続けられる方が当然、効果があります。
自分で「簡単にできそう」と思うことから始めていきましょう。
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