低温やけどの症状と治療法を詳しく知りたい!
<監修医師 春田 萌>
「低温やけど」という言葉、なんとな~く耳にしたことはあるけど、どういうものかはあまり知らないという方多いのではないでしょうか?
実は今まで知らない間に起こしていたりする方もいらっしゃるかもしれません。
では、この「低温やけど」どんな症状があるのでしょうか?
実際起こしてしまったら、どんな治療が必要なのでしょうか?予防法と対策について書いていきます。
低温やけどの症状を解説
では、「低温やけど」とは一体どんなものなのでしょうか?
これは、一般的な「やけど」とは別物と考えます。
熱いものではなく、心地いいくらいの温度のもの(例えばカイロやコタツ、湯たんぽなど冬の生活に欠かせないものですね)に長時間触れておくことで起こします。
長い時間触れておくと、皮膚の下の脂肪細胞に熱が伝わります。
この脂肪細胞は、体表面の皮膚に比べて冷却されづらいので、じわじわと「やけど」という状態を起こしていきます。
そして、表面から深いところでゆっくり起きていくため、気付いたときにはひどくなっている場合が多く、見た目に重傷感がないのが「低温やけど」の怖いところです。
低温やけどは、見た目・症状によってⅠ~Ⅲ度に分類されます
・Ⅰ度:外見は赤くなり、ピリピリした痛みがあります。Ⅱ度は浅いものと深いものの2つに分かれます。
・浅達度Ⅱ度:腫れたり水ぶくれができたりし、皮膚や皮膚の中がジュクジュクになり、強い痛みがあります。 ・深達度Ⅱ度:水ぶくれなどに加えて、表面が白くなってきます。 痛みは強いものの、感覚が鈍くなってきます。 ・Ⅲ度:乾燥して白くなり、痛みを感じなくなります。 |
心当たりがある方も、中にはいらしゃるのではないでしょうか?
低温やけどを起こしやすいめやすとしては、44℃で3~4時間、46℃で30分~1時間、50℃で2~3分とされています。
心地いい温度で、しかも割と短時間で起こすので、皮膚の薄い高齢者や乳児等がなりやすいといわれていますが、酔っぱらったりして感覚が鈍くなっている時も要注意です。
前述したとおり、「冬のおとも」ともいえる湯たんぽやカイロ、こたつや電気毛布などが起こす原因となります。
寝ている状態では感覚が鈍くなっているので、湯たんぽは重症化しやすいのが特徴です。
カイロや湯たんぽは、直接皮膚にあたらないようにして使用することが大切です。
気持ちよくなってうっかり寝てしまうコタツや電気カーペット、寒くて眠れない夜に大活躍の電気毛布などは、やけどの範囲が大きくなってしまって大変なことになります。
コタツや電気カーペットで寝ないこと、電気毛布は布団を温めるのに使って、寝るときには電源を切るようにしましょう。
低温やけどの症状ごとの治療法
では、「低温やけど」になってしまったらどう対処したらよいのでしょう。治療方法は、先ほどご紹介した分類によって大きく変わってきます。
Ⅰ度の場合
冷やしたり軟膏やアロエを塗ったりすることも効果があるようです。数日で治ることが多く、傷跡もほとんど残りません。
浅達度Ⅱ度の場合も、きちんと専門の医療機関を受診して適切な処置を受ければ10日ほどで治り、傷跡もほとんど残らないようです。
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深達度Ⅱ度の場合
きちんと適切な処置を受けても2週間以上の期間を要し、傷跡も残ってしまうようです。
Ⅲ度の場合は、自家移植など、手術、入院加療が必要になることもあり、治るまでに1か月以上かかります。
医療機関での治療
傷の消毒を行った後軟膏を塗り、ガーゼで覆ってこまめにガーゼというものが主流でした。
しかし、最近は「湿潤療法」という治療方法を行うこともあるようです。
これは傷から出てくる滲出液(かさぶたを作る元になる液体)で表面を覆っておくという治療方法です。
ざっくりいうと、傷口から浸出液には傷を早く治させる因子がたくさん含まれているので、自分の傷を自分の浸出液で治してしまおうというものです。
ただ、治療方法は医療機関によって様々ですので、希望する治療方法がある場合は前もって調べておくことが必要です。
自分や家族が「低温やけど」かもしれないと思ったら、自己判断せずにまずは医療機関を受診しましょう。
見た目が軽傷でも、実は重症な場合も多々あります。
放置して重症化してしまう前に、軽傷だと思っても医療機関を受診して適切な治療を行うことが、早くキレイに治すために大切なことです。
水ぶくれが破裂して痛い時はどう処置すればいいか
Ⅱ度以上「低温やけど」の場合、水ぶくれができてしまうことがあります。
色々な考え方がありますが、水ぶくれは潰さないというものが多いようです。
潰れたところからばい菌が入ってしまい、感染症や症状の悪化の原因になる可能性があるためです。
ただ、普段の生活の中で破れてしまうことがあります。破れてしまうと、痛みが増すことが多いようです。
破れて痛い場合には、傷口に直接触れないようにして冷やしましょう。傷口を直接流水などで冷やしてしまうと、ばい菌が入りやすくなります。
傷口をまず何かで覆った後に、アイスノンやビニール袋に入った氷水などで冷やしましょう。
冷やすことで炎症も落ち着いてきます。それでも痛みが治まらなければ、市販の痛み止めを飲むことも一つの手です。
ただ、飲みすぎると胃が荒れたり、やけどがどれくらい酷いのかが判断しにくくなったりするので、気を付けましょう。
痛みがひどい場合は、まず主治医の先生に相談してみましょう。
まとめ
「低温やけど」は誰でもなるケガの一つで、自分では気づかないこともあります。
最近は、ノートパソコンが原因で起きたという報告もあるようです。
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日常生活で起きないように気を付けておき、万が一起きてしまったら、自己判断せずに医療機関を受診して、適切な処置を受けるようにしましょう。
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