塩分不足で頭痛がする【危険な病気に注意して!】
<監修医師 ドクターTST>
高血圧等をお持ちの方は減塩に気を付けている方は多い事と思います。塩分の摂取量を抑える為の減塩醤油等の商品も並んでいますよね。
ですが、実は塩分が不足する事で起こる症状や病気があるのです。
原因が分からないという頭痛も塩分が不足している事によって引き起こされている可能性があります。
今回は塩分不足による頭痛の原因や塩分不足によって引き起こされる症状、病気についてご説明いたします。
塩分不足で頭痛がする原因
ナトリウム(塩分)は塩化ナトリウムと呼ばれ、生理機能や代謝等、私達が生きていく為に必要不可欠な必須ミネラルの1つです。
ナトリウム(塩分)は神経伝達にも必要で、心臓を動かす事にも必要です。さらに血液の浄化作用や造血作用、栄養分の消化吸収を助けてくれる働きも持っています。
ナトリウム(塩分)は私達の身体にとってなくてはならないもので、塩分不足により、様々な病気を引き起こしてしまうのです。
それではまず塩分不足による頭痛の原因についてご説明いたします。
脱水症状
熱中症や下痢症状が続いている時に注意しなければならないのが脱水症状です。
脱水症状は単なる水の不足ではなく、必要な体液が失われた状態です。水分だけでなく、電解質も同時に失われている状態に陥ります。
この脱水症状でも頭痛、めまい、吐き気等の症状が現れ、重症化する可能性もあります。脱水症状を起こしている時に単に水分を摂れば良いかといったらそうではありません。
塩分が不足している事によって体に多くの水分を溜める事ができないのです。お水や塩分の入っていない飲み物を飲んでも尿として排出されるだけで、脱水症状がどんどん悪化してしまいます。
経口補水液等の塩分の含まれている飲み物で水分補給をしてください。
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低ナトリウム血症
血液中のナトリウム濃度が極端に低くなった状態の事を低ナトリウム血症といいます。
症状としては頭痛、意識が遠のくような感じ、手足のむくみ、吐き気、嘔吐、眠気、下痢等が現れます。放っておくと脳機能障害の症状や昏睡状態に陥り、命に関わります。
この低ナトリウム血症は激しい運動後の必要以上の水分補給や、発汗率に合わない水分補給により起こります。
ファスティングダイエット中の塩分不足
断食までとはいかずとも、一食のみ二食のみ断食や、少食にする等のダイエット方法をファスティングダイエットといい、今流行りのダイエット方法です。
ですが、このファスティングダイエット中に塩分不足による頭痛が起きる事があります。
食事制限をする中で体に必要な塩分や水分、栄養素までもが不足してしまいます。塩分が不足する事で、血流が悪くなりドロドロとした血液になってしまいます。
頭痛、めまい、立ちくらみ、ふらつき、吐き気、倦怠感、慢性疲労等の症状が現れた場合には塩分の摂取量の見直しをしましょう。
ダイエットも大事ですが、体に必要な栄養素はきちんと摂取するように気を付けましょう。
妊娠後期に起こる頭痛
妊娠後期はむくみやすくなる為、水分摂取量を控えて水分不足になりがちです。
水分不足により、血行不良・血液がドロドロになり、脳に必要な酸素がいきわたらなくなり、頭痛を引き起こします。
塩分不足の症状
ナトリウム(塩分)は私達が生きていく上で必要不可欠な必須ミネラルです。塩分の過度な減塩は全身の症状を引き起こします。
それでは次に塩分不足によって起こる症状をご説明いたします。
頭痛
熱中症や下痢症状での脱水症状による塩分不足やダイエット中、妊娠後期、過度な減塩等によっての塩分不足。これらの原因により、頭痛を引き起こします。
低ナトリウム血症という病気の症状の場合には命に関わります。
めまい・ふらつき
私達の体液の塩分濃度は常に約0.9%に保たれています。
ナトリウムが減る事により、体の水分が少ない状態に保たれてしまいます。血液量も少なくなり、血液と一緒に脳へと届けられる酸素の量が減ってしまいます。
その結果めまいやふらつきの症状を起こします。
食欲低下
塩化ナトリウムは胃腸の消化液の分泌を促進させる働きを持っています。また栄養素を体に吸収させる働きも持っています。
塩分不足により、消化吸収作用が低下し、著しく食欲低下を引き起こします。また必要な栄養も摂取できずに栄養不足に陥ります。
脱力感・倦怠感
食欲低下により、必要な栄養が摂取できなくなり、体の機能が衰えていきます。そして全身の脱力感や倦怠感を引き起こします。
力も出ず、体力だけでなく気力をも失ってしまいます。
筋肉異常・けいれん
人間の神経は、神経伝達物質や電気信号により情報を伝達させています。
外部からの刺激を脳に伝える場合にも、脳から筋肉へと指令を伝える場合にも同じように神経伝達物質や電気信号が必要となります。
筋肉の収縮・弛緩という働きも、電気信号により行われます。この神経伝達機能には塩分のナトリウムとカリウムが必ず必要です。
塩分不足により、筋肉の伸縮が正常に行われなくなります。無意識に筋肉の収縮を起こしてしまうけいれんの症状も引き起こします。
免疫機能の低下
ナトリウム(塩分)は腸の悪玉菌を減らす作用も持っています。塩分不足により、腸内環境も悪化してしまいます。
腸は免疫を作る重要な器官です。腸内環境の悪化により、免疫機能が低下し、病気にかかりやすくなったり、アレルギー反応を起こしやすくなります。
認知症・精神障害
塩分が不足する事により、神経伝達機能が正常に働かなくなります。自律神経の機能も崩れたり、様々な症状を引き起こすようになります。
うつ状態(症状)を引き起こしたり、痙攣発作、意識障害、昏睡状態を起こすようになります。また物忘れや意識障害、認知症の発症原因にもなりますので、注意が必要です。
足がつる
足がつるというのは筋肉が硬直して痙攣を起こしている状態です。塩分不足により、ミネラルバランスが崩れて正常な筋肉の状態を保てなくなります。
その結果、足がつるという症状が現れます。
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肌荒れ・湿疹
肌荒れの多くの原因として体の中の毒素がうまく排出されていない事があげられます。ナトリウムは新陳代謝を高め、体内のミネラルバランスを保っています。
またナトリウムイオンの力により、細胞の働きを活発にし、老廃物・毒素を排出したり、新しい細胞を作り出しています。
毒素を体から排出するのに重要な役割を持つのがナトリウムなのです。
塩分不足により、これらの働きが悪くなり、結果として肌荒れ・湿疹を招きます。
冷え症
塩分不足により、血液の水分量が減少し、ドロドロの血液となってしまいます。そのドロドロの血液から血行不良を引き起こします。
血行不良により、冷え症へとなってしまいます。冷えは万病の元というように、身体にとって良くないものですから、注意しましょう。
塩分不足は危険な病気を引き起こすかもしれない
最後に塩分不足によって引き起こされる病気についてご説明いたします。
中には命に関わる危険な病気もあります。過度な減塩は控え、バランスの良い食生活を心掛けましょう。
うつ状態(症状)
塩分不足により、体内のミネラルバランスが崩れます。神経伝達機能も正常に働かなくなり、自律神経の機能も乱れてしまいます。
そうすると少しのストレスの影響を受けただけでも、精神的にひどく落ち込んでしまったり、ストレスにとても弱くなってしまうのです。
うつ状態(症状)はストレスの多い現代病とも言われていますが、塩分不足により引き起こされている可能性もある事を念頭に入れなければなりません。
過度な減塩を控えるとともに食生活の改善も必要になります。
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低ナトリウム血症
上記でも少しご説明いたしましたが、低ナトリウム血症は血液中のナトリウム濃度が極端に低くなります。
原因としては肝硬変、心不全、甲状腺機能低下症、腎臓疾患、膵炎、腹膜炎、抗利尿ホルモン分泌異常症候群、アジソン病、小腸の閉塞、重度のやけど、下痢、嘔吐等、多岐に渡ります。
ですが、これらの病気とは関係なく日常生活の中でも起こり得る病気なのです。
激しい運動後の過剰な水分補給や、塩分の含まれていない水だけを体内に大量に入れた場合等に起こります。
また女性に流行りのホットヨガ等軽い運動で汗をかいた後に水分を必要以上に摂り過ぎてしまう事でも起きるのです。水だけを急に摂取する事で、体の中の電解質バランスが崩れます。
そしてナトリウム濃度が低下し、低ナトリウム血症を引き起こし、重症化する場合もあるのです。
そのまま放っておくと錯乱等精神機能障害の症状が現れ、昏睡状態に陥り、最悪の場合には死に至ります。
病院での治療が必要な危険な病気ですので、すぐに病院に行ってください。
血液循環不全
血液中のナトリウムや塩分不足により、細胞外液の濃度が低くなります。体は下がった濃度を正常に戻そうと水分を体外に排出します。それにより、血漿の量が減少します。
血液が濃縮し、各臓器へ流れる血液の量が減少します。血液の量が減る事により、血圧低下や循環不全を引き起こします。
顔面蒼白、力が入らない、冷や汗、脈拍が感知できなくなる、呼吸不全等のショック状態を引き起こします。
命に関わる危険な状態になりますので、すぐに病院に行ってください。
健康の為にと減塩をされている方も多いと思いますが、実は減塩による影響でこんなにもたくさんの症状や危険な病気を引き起こす可能性があるのです。
健康な成人の1日の食塩摂取量は男性8.0g未満、女性7.0g未満です。高血圧や持病のある方、高齢の方は食塩摂取量が異なりますので、医師にご相談ください。
過度な減塩を避け、バランスの良い食生活を心掛けましょう。
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