心臓の違和感の6つの原因【ストレスが関係してる?】
<監修医師 ドクターTST>
心臓の位置はどこでしょう。大抵の人は左胸だと思っていますが、実はほぼ真ん中当たりにあります。
人体解剖図などを見ると、その形から左側と思いがちですが肺と肺の間にあります。
このあたりに感じる違和感ですが、ドキドキする、どくんどくんと強く脈打つ、痛みなどがあります。
これは何が原因なのでしょうか。心臓だけにちょっと不気味ですね。
今回は心配な心臓の違和感の原因についての知識をお伝えします。
気になる所から確認してみよう
心臓の違和感の原因
自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)
生活の心配事や仕事の悩みなどの精神的ストレスや、温度湿度など気候や生活環境によるストレス、また体の不調など身体的なストレスから自律神経のバランスがくずれます。
そうすると、心臓や消化器、呼吸器など、自律神経によって働く臓器のコントロールが乱れます。
その影響の一つとして、心臓の違和感が現われます。運動していないのに動悸がしたり、脈が飛んだり、胸がざわつく、もやもやした感じなどといった症状が現われます。
このような症状になったら、原因のストレスに立ち向かおうとせず、一時的に逃げる事も一つの対策です。
しばらくして精神状態が落ち着けば自然とストレスにも対応できるようになります。心臓が止まることはありませんので、心配はいりません。
ただ、このような症状は狭心症がかくれていることも考えられます。念のため一度受診したほうがいいでしょう。
病院は何科がいいか迷うところです。心療内科がいいのですが、内科や循環器科でも問題ありません。
ただ、ストレスが原因のばあい筋肉がこわばっていることがよくあります。これを解消すれば調子がよくなることもあるので、整体や鍼灸院も選択肢に入ります。
心臓神経症
胸の痛み、動悸、心臓の音を感じる、息切れ、息苦しい、めまいなど、心臓病のような症状なのに、心臓を検査しても異常がないものを、心臓神経症といいます。
痛みがあるのは左胸の一部で、圧迫すると痛みが強くなるのが特徴です。
呼吸性不整脈とか、緊張、ストレスによる不整脈などの可能性が考えられます。
受診は心療内科や精神科が適していますが、順序としてはまず内科や循環器科を受診し、原因がつかめず解決しない場合に心療内科を受診します。
不整脈
不整脈には、脈が速くなる(頻脈・ひんみゃく)、遅くなる(徐脈・じょみゃく)、ときどき飛ぶ(期外収縮・きがいしゅうしゅく)の症状があります。また一瞬から数秒で治まる痛みを伴うこともあります。
原因は心臓の異常もありますが、そればかりではなく高血圧や肺、甲状腺の異常でも起こります。また、原因不明の不整脈もけっこう多いようです。加齢やストレスも原因の一つと考えられます。
めまいや吐き気、息苦しいなどの症状を伴うと、心室・心房細動や心不全といった重い心臓病の可能性もありますので、早めに内科のお医者さんに相談してください。
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狭心症
冠動脈の内部が狭くなって起こります。血管が狭くなる原因の多くは糖尿病や高血圧、高脂血症による動脈硬化です。
他に血管のけいれんもあります。突然の胸の痛みや圧迫感が主な症状ですが、胃や背中、のどの痛み、左肩から腕へのしびれなどの症状もあります。
痛みは冷や汗が出るような強いものから、違和感程度の軽い痛みまでさまざまです。そして狭心症の痛みは安静にしていると5分くらいで徐々に収まります。
心筋梗塞の場合は収まらないので、この点で大体の見当がつけられます。
狭心症には、労作(ろうさ)時狭心症と安静時狭心症に大別されます。労作時狭心症は重いものを持つ、階段を上がる、冬季の入浴時などによく起こります。
安静時狭心症は寝ている時、特に明け方に起きやすくなります。朝、顔を洗った時に起こることもあります。
狭心症であれば緊急性は少ないのですが、何らかの異常があって起こっている症状です。
心筋梗塞につながる危険性や心室細動などの重い病気の可能性があるので、症状が治まっても必ず内科、循環器科を受診してください。
症状がよく似た病気がたくさんあるので、診断には各種の心電図やカテーテルを使って検査が行われます。
心筋梗塞(しんきんこうそく)
心筋梗塞は心臓自体に血液を送る冠動脈が詰まる病気です。突然強い胸の痛みが起こり、15分以上続きます。強烈な胸の痛みが特徴とされますが、痛みなしの心筋梗塞も珍しくありません。
高齢者や糖尿病の人では痛みをあまり感じないこともあります。また三人に一人ぐらいは何の前ぶれ(狭心症など)もなく心筋梗塞が起こっています。
痛みは心臓だけに起こるとは限りません。放散痛(ほうさんつう)といって、脳が指や背中、肩の痛みと間違えて感じます。心筋梗塞なのに肩こりや歯痛と勘違いすることもあります。
心臓に血液が不足して組織が壊れているので、大変危険な症状です。
経験したことがない激しい痛みがなかなか収まらない時は心筋梗塞を疑い、救急車などですぐに大きな病院へ急ぎます。
病院では心電図やCTなどで診断し、カテーテルで詰まった血管を広げて血液の流れを回復させます。
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周産期心筋症
この病気はもともと心臓に異常のない妊婦が、5ヵ月目ぐらいから急に心臓の機能が弱くなります。
息苦しさ、咳、動悸、むくみなどが主な症状です。
原因は不明ですが、高年齢や高血圧、多胎妊娠(双子、三つ子など)、切迫流産の治療などの人に多く見られます。
診断はレンドゲン、心電図、エコー、カテーテルなどを使って行われます。確定後は一般の心不全と同じ治療が行われます。
日本人では2万件に1人ぐらいの発症率で、外国に比べ一桁少ない発症率になっています。
心臓を健康に保つ為の予防法
日本では心臓の病気で亡くなる人の数が、がんに次いで2番目に多いといわれます。それだけ心臓が悪い人が多いということです。
大切な心臓を健康に保つ為の予防法にはどんなものがあるのでしょうか。
肥満の解消
太りすぎると心臓には負担が増えます。また、肥満になる原因の高脂肪、高カロリーの食事、運動不足は動脈硬化の原因にもなります。
それが狭心症や心筋梗塞の発症につながって行きます。食生活、生活習慣の見直しで肥満を解消すれば、心臓の健康は回復するでしょう。
食生活の改善
肥満対策にもつながることですが、肉類や脂肪の多い食事だと、血液中の中性脂肪がふえて動脈硬化を促進します。
動脈硬化は狭心症や心筋梗塞などに直接つながる原因なので、普段の食事の摂りかたを見直しましょう。
魚や野菜を多く食べることで、ビタミンやミネラルを多く摂ることができます。魚には血液成分を改善するEPA・DHAなどの脂肪酸が多く含まれます。
これらを増やし、肉、脂肪も含めてバランスの取れた食生活にすることが、心臓の負担を減らして病気の予防に役立ちます。
運動
適度な有酸素運動によって、心臓や肺にほどよい負荷がかかります。運動を習慣的に続けることで心臓や肺の機能が高くなり、病気の発症を防ぐ抵抗力が強化されます。
歩く程度の軽い運動で十分効果があるので、日々の生活に習慣的に取り入れるようにします。
運動が心臓病のリスク要因に及ぼす影響についての調査があります。
それによると、ウォークングとランニングの改善効果を比べると、高血圧と高コレステロールに対してはウォーキングのほうが高く、糖尿病についてはほぼ同じということです。
苦しい運動をして挫折するよりも、軽い運動を続けるほうがより効果的といえます。
睡眠
睡眠不足が続くと、心臓病が起こる危険性が高くなるといわれます。
高血圧や糖尿病、ストレスの蓄積などは睡眠と深くかかわっているので、不規則な生活習慣から睡眠時間を犠牲にすることのないようにします。
自分にとって最適な睡眠時間を確保することが大切です。
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禁煙
タバコのニコチンは、血管を収縮する作用があり、血の流れを妨げて動脈硬化や血流障害の原因になります。
この結果肺や心臓に大きな負担がかかり、心臓病の原因になります。
喫煙者の心臓病発症リスクは吸わない人にくらべ2~4倍とも言われます。心臓の健康を守りたいのであれば、禁煙はどうしても必要になります。
まとめ
心臓は大変大切な臓器で、その病気は死に直結します。重大な結果につながることが多い心臓の違和感について、知っておきたい知識をお伝えしました。
普段の生活でも心臓のことを気にかけ、血圧を自分で測るなど心臓の健康状態をチェックする習慣をつけましょう。
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