右胸が痛いし苦しい!何かの病気だったらどうしよう。。。
<監修医師 豊田早苗>
「右胸が苦しい」「右胸が痛い」と感じたこと、ありませんか?
痛みが一瞬で消えてしまうとついつい「気のせいかな」と見過ごしてしまいがちです。
しかしその痛み、もしかしたら身体からのSOSかも知れません。
胸には心臓、肺、大動脈などの重要な器官が詰まっています。
胸の中でも右胸が痛むのか、左胸が痛むのか、それとも中央が痛むのか、どんな場合にどんな痛みを感じるかによって異なる病気が予測されます。
今回は特に、右胸についてのお話を集めてみました。
右胸の痛みや苦しみがどんな病気の可能性があるのか、知っておいて損はありません。
右胸が痛い原因は? どんな病気の可能性があるの?
まず右胸にはどんな臓器があるかと言いますと、身体を表面をおおう肋骨の下に肺・肝臓・胆嚢があります。
内臓からの痛みであれば、考えられるのは以下の三つの病気です。
①消化器系の病気(胆嚢炎、胆石症)
胆嚢は脂を溶かす胆汁を分泌する器官ですが、石が出来やすい場所でもあります。
出来た胆石が器官から伸びる管に詰まると炎症を起こし、痛みを感じます。
激しい痛みが右側腹部から胸部にかけて生じたら、胆石が原因かも知れません。
胆石は皮膚が黄色くなる「黄疸」や発熱を伴うなど、右胸の痛み以外にも症状が出ますので、比較的原因は分かりやすいです。
胆石が出来る原因は普段の食事にあると考えられています。
脂っこいものをよく食べる人は胆石が出来やすいので注意が必要です。
また子供でも消化器系の病気を患う可能性はありますが、大人ほどうまく痛みを表現できないため発見が遅れる場合があります。
子供は身体の各部位の痛みを「お腹が痛い」とひとまとめにして報告することもあります。
普段の様子と違うところがないか、保護者が気付いてあげましょう。
②血管の病気(大動脈解離)
突然引き裂かれるような激しい痛みを右胸や背中に感じたら大動脈解離の疑いがあります。
大動脈の壁に亀裂が入る病気ですが、かなり激しい痛みを伴います。
痛みは右胸や背中からはじまり、亀裂が広がるごとに痛みが胸部、腹部、下肢と痛みが下降して広がっていくのが特徴です。
亀裂は突然入り、すぐに対処が必要な病気です。
急性心筋梗塞も処置が早ければ早いほど助かる確率が増加する病気ですが、大動脈解離も同じです。
高血圧の人がかかりやすい病気ですが、実は日本人の突然死には多い病気なのです。
胸から始まり手足まで痺れる痛みを感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。
③肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)
もしも「右胸を押すと痛い」「突然右胸が痛い」という症状が出た場合、それは肋間神経痛の可能性があります。
肋間神経痛は胸の部分を覆っている肋骨の間や内側を通る肋間神経が何らかの原因で痛むことが原因となり、胸の片側だけが痛む症状です。
肋間神経は右胸の内側からその下、脇の下に近い横の部分まで覆っているので一瞬「乳がんかも」と考えてしまいがちですが、片側だけ唐突に痛む場合は典型的な肋間神経痛の症状です。
特にくしゃみや咳、深呼吸を行ったとき、寝る時に寝返りを打ったりした時に「ズキッ」と感じた場合は要注意です。
そっと胸の下の骨、肋骨の辺りを押してみて痛みようであれば可能性が高いです。
その他の原因
病気ではありませんが、女性特有の右胸が痛む原因があります。
それは「生理前」と「妊娠中」「出産後」の痛みです。
生理前には腰が痛くなったり、お腹が痛くなったり、精神的に不安手になったりと人それぞれではありますが予兆のような症状が出ますよね。これらをまとめて「月経前症候群」と呼びます。
ホルモンバランスの崩れが原因となって起こる様々な症状の総称で、右胸の痛みもホルモンバランスの崩れにより起きる乳腺の異常が原因です。
生理が終わりに近付くと症状も消えますので、心配には及びません。
また妊娠中の妊婦も、体内のホルモンバランスが崩れている状態です。さらに妊娠後期になると、母乳を出すために身体の内部で変化が起きます。そのため右胸に痛みを感じるのです。
出産後は母乳を出すために乳腺が活発化し、もしも細菌が侵入したり母乳をなかなか出せずにいると乳腺が腫れ、胸の痛みや乳腺炎を引き起こします。
乳腺炎は放置しておくとお母さんの身体を蝕みますので、適切な治療が必要になります。
その他、意外かも知れませんが「筋肉痛」が挙げられます。
男女問わず見られる症状で、右肩から胸の辺りや胸の上の方(リンパ腺の下あたり)が痛む場合は、筋肉痛の可能性があります。
右胸が苦しい原因!どんな病気の可能性がある?
もしも右胸が締め付けるような苦しみを感じるようであれば、以下の原因が考えられます。
①肺や胸膜の病気(気胸)
胸の痛みの他に、息苦しさや呼吸困難を伴います。
肺の一部が破れ、肺が縮むことが原因です。
胸だけではなく、背中と胸を一緒に押し潰されるような痛みを感じることもあります。背中ではなく、胸の裏側が痛むと感じる場合もあります。
痩せている男性が発症しやすいと言われていますが、女性で発症する人も多く、患者数も多い病気です。
発症時には痛みを感じても、時間の経過と共に痛みが軽減されるため、見逃されがちです。
「息苦しい上に胸が痛む」という場合は要注意です。
②精神的なもの(心臓神経症)
精神的な負担がかかると胸に感じる苦しみで、検査では異常なしという結果が出ることもしばしばです。
ストレスが原因だと考えられています。
一見「狭心症」に似た症状が出ますが、精神的な負担が原因ですので症状が出るのは一人で静かに物思いに耽っている場合です。
酷いときは胸の痛みが一日中続きます。
痛み方は「ズキズキ」「チクチク」しており、そっと胸の部分を押すと更に痛みが増すのが特徴です。
いつも痛むのではなく、たまに痛みが現れて続く程度だと見過ごされがちですが、症状が悪化しないうちに病院で診察を受けた方がいい病気です。
③肺がん
もしも胸の痛みが断続的に続くようであれば、肺癌(はいがん)の可能性もあります。
ただし肺がんの場合、胸の痛み以外にも特徴がありますので他に当てはまる症状がないかチェックして下さい。
・血が混じった痰が頻繁に出る
・めまいを感じるほど激しい咳が出る
・発熱
・息切れ
・体重の著しい減少や倦怠感
一見風邪や気管支炎のようにも見える症状のため、多くの人が「風邪くらいで病院に行くのは大げさ」と考えた結果、発見が遅れるケースが多いです。風邪にありがちな筋肉痛だと思ってしまうと右胸の痛みも見落とされがちです。
幸運にも自覚症状が出ながらも早期発見に至った人の多くは、健康診断でたまたま見つかった人たちです。
普段から健康診断は定期的に受けておきましょう。
また長引く右胸の痛みは無視しないようにしましょう。
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いずれにしても重要なのは一つの要因だけで原因を特定しようとしないことです。
「どのように痛いのか」刺すような痛みなのか、締め付けるような痛みなのか、痛みにも種類があります。
また右胸と言っても上部なのか、下の方なのかでも原因は変わります。
「どのくらい持続する痛みなのか」数秒か、数日かで大きな違いがあります。
「どのようなときに痛みを感じるか」動くと痛むのか、安静にしても痛むのか、咳き込むときにだけ痛むのか、など。
「他に自覚症状がないか。」
以上の情報を的確にお医者さんに問診で伝えるようにしましょう。
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内臓系の痛みは循環器科や呼吸器科を受診するべきですが、もしも痛みが継続的でしたら迷わず救急病院に行きましょう。
場所が場所だけに、用心するに越したことはありません。
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