心臓麻痺の3つの原因【前兆も確認しておこう】
<監修医師 ドクターTST>
よく耳にはするけれど、心臓麻痺とは一体どんな症状で、どのようにして引き起こされるのかご存知ですか?
心臓麻痺は急に人の命を奪ってしまう、恐ろしいものです。
今回は、そんな心臓麻痺の原因を解説するとともに、心臓麻痺の前兆についてもお伝えします。
もしかしたら、あなたも心臓麻痺のリスクにさらされているかもしれません。早速チェックしていきましょう。
心臓麻痺とは一体どんな状態を指し、そして何によって引き起こされるのか。まずそこから解説します。
気になる所から確認してみよう
心臓麻痺とは何か
心臓麻痺とは、心臓のポンプ機能が何らかの原因で失われてしまったために突然死亡してしまうことを言います。ですが、「心臓麻痺」という医学用語はありません。
医学的には、「突然死」という言い方をして、災害、事故、自殺、他殺などが原因ではない、症状が出現してから24時間以内に起こる、予期せぬ突然の死亡を意味します。
ここで、少し言葉の整理をしましょう。よく混同しやすい、「心不全」、「心筋梗塞」、「心臓発作」、「心臓麻痺」の違いを解説します。
心不全
「心不全」とは病名ではなく、心臓の働きが不十分な結果、機能低下してしまった体の状態をあらわす症候名です。
心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液や酸素がいかなくなり、だるさ、疲れやすさ、息切れなどが起こります。
急性心不全では、原因不明の突然死が引き起こされることもあります。
心筋梗塞
「心筋梗塞」とは、循環器の疾患の一つで、心臓に血液を供給する冠動脈の血管が何らかの原因で狭くなり、心臓の筋肉が酸素不足で壊死してしまう状態を指します。
後遺症として、狭心症や不整脈が残ることがあります。
心臓発作
「心臓発作」とは、心臓など循環器系の持病によって起こる、突発的な発作のことです。発作が起こると、胸や肩のあたりに痛みを感じます。
心筋梗塞は心臓発作に含まれますが、不整脈発作なども含まれる、広い意味を持つ言葉です。
心臓麻痺
そして「心臓麻痺」とは、心筋梗塞を含め、循環器系を主とする様々な原因により発生する突然死のことです。
それでは、心臓麻痺を引き起こす原因とは一体何なのか。詳しく見ていきましょう。
心臓麻痺を引き起こす原因
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、冠動脈が詰まったり狭くなったりして心臓の筋肉に血液が行かなくなることにより、心臓に障害が発生する疾患の総称です。
中でも心臓麻痺(突然死)を引き起こすのは、急性心筋梗塞、旧性(ちんきゅうせい)心筋梗塞、狭心症などが挙げられます。
程度の軽い動脈硬化プラーク(脂肪を含んだ袋)がストレス等が原因で突然破裂することにより血管が詰まってしまうことがあります。
ほんの些細なきっかけで心筋梗塞が起こってしまうことも十分あり得るのです。
仕組みとしては、急性心筋梗塞で心筋が壊死した部分から心臓の壁に穴があいてしまったり、心筋梗塞が広い範囲で起こってしまったために心臓のポンプ機能が著しく低下してしまったり、心室頻拍(しんしつひんぱく)や心室細動(しんしつさいどう)などの重症性心室不整脈が起こることで、心臓麻痺を引き起こします。
非虚血性心疾患
非虚血性心疾患には、心筋症、心筋炎(しんきんえん)、WPW症候群、遺伝性(先天性)QT延長症候群などがあります。
これらの疾患による不整脈が原因で心臓麻痺を引き起こすことがあります。
不整脈には、主に心室細動、心静止、高度徐脈(こうどじょみゃく)、心室頻拍があります。心室頻拍では、心拍数が上がり血圧がガクッと下がるため、ショック状態になります。
心室細動とは、心臓が小刻みに震えて血液を送ることができなくなるため、血圧はほぼ0となり、10秒ほどで意識不明になります。
若い人も注意!その他の心臓病
運動中に心臓麻痺をおこして命を落としてしまう方がいます。そのような場合、発症していなかった心臓病が原因であることがあります。
若い方ですと、肥大型心筋症や冠動脈奇形が原因となることが多いです。
肥大型心筋症では、心筋が厚くなるため、心臓の中のスペースが狭くなり、血液がうまく送り出せなくなってしまいます。
冠動脈奇形は心臓に血液を送る冠動脈に見られる先天的異常です。
普段の生活にはあまり問題がなくても、激しい運動時などに心臓発作や心臓麻痺が起こる可能性がある、重篤な疾患です。
子供の場合は、心筋炎、中高年の方ですと冠動脈疾患などが原因で、運動中に心臓麻痺をおこしてしまう方がいます。
激しいスポーツをされる方は、心臓の状態を十分把握しておく必要があります。
心臓麻痺の前兆チェック
心臓麻痺は突然訪れる、防ぎようのないものなのでしょうか?残念ながら、全く前兆がなく心臓麻痺を起こしてしまう方はいます。
ですが、前兆が全くないわけではありません。次のような症状がある方は、心臓麻痺の危険性がありますので要注意です!
狭心症の発作を繰り返す
狭心症とは、血管の内側が狭くなるために、心臓の筋肉に十分な血液が届かずに胸の痛みが起こる状態をいいます。
発作が起こると、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる、または胸が焼けつくように感じます。
糖尿病の方は、症状を軽く感じることが多いので気付かない場合もあるので注意が必要です。
動脈硬化
心臓麻痺は、軽い動脈硬化がストレスなどで突然破裂したり裂けたりして、心筋梗塞を起こすことにより発生することがあります。
もし、動脈硬化を発症している方は、進行を遅らせることが重要です。
動脈硬化ははっきりとした自覚症状が出ませんが、階段を上ると息がきれる、めまいがする、胸のあたりに軽い痛みが出る、手足に軽いしびれが出るなどは動脈硬化の前触れです。心当たりのある方は早めに検査を受けるようにしましょう!
こんな人は要注意!!
上の2つの他にも、次のような人は心臓麻痺をおこす確率が高いです。
・高血圧
・コレステロール値が高い ・運動不足気味 ・血糖値が高い ・肥満 ・喫煙家 ・家族に心筋梗塞を起こした人がいる ・競争好きで、アグレッシブな性格 |
当てはまる方は、病院での精密な検査や生活習慣の見直しをお勧めします。
心臓麻痺の症状
実際に心臓麻痺とはどのような症状が見られるのでしょうか。主な症状は、胸痛、胸が苦しい、吐き気、嘔吐です。また、胸だけでなく肩や腕に痛みがある場合もあります。
全身が熱く感じ、汗をかいてきます。症状が急変するまで1分もかかりません。突然倒れて意識不明になってしまいます。
もし、ご家族や同僚の方がこのような症状で倒れられたらすぐに救急車を呼び、蘇生術を施しましょう。蘇生術で生き返り、突然死を免れるケースもあります。
最近は、会社などの建物内にAEDが設置されているところが多くありますので、普段から使用方法を学んでおくのもいいかもしれません。
心臓麻痺の予防に注意するポイント
突然の心臓麻痺を予防するためのポイントをご紹介します。普段の生活に直結することばかりですので、心臓や循環器にリスクを抱えている方は普段から十分注意したいですね。
温度差
急激な温度差は、血圧や脈拍数をあげ、心臓や血管に負担を与えます。特に、冬のお風呂は十分に気をつけてください。
お風呂に暖房機能がない場合、急に熱いお湯(42℃以上)につからないようにしましょう。お風呂はぬるめのお湯を準備し、心臓から遠い部分からゆっくりとお湯をかけて体を十分ならしましょう。
水分を取る
普段から、水分を十分取るようにしましょう。特に、暑い夏場など、水分が失われやすいときほど注意してください。
水分が不足すると、血液に粘り気がでて、固まりやすくなってしまいます。水分を十分取っていれば心筋梗塞や心臓麻痺を防ぐことができます。
特に、お年寄りの方は夜にトイレに行くのを避けるため水分を取るのを避ける方がいます。
ですが、夜も人間はたくさん汗をかいています。寝る前もしっかり水分を摂るようにするのがベストです。
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疲れをためない、夜更かしをしない
仕事が忙しくて十分睡眠がとれない、という方は心臓麻痺の危険性が高まってしまいます。難しいかもしれませんが、なるべく夜更かしをせずに、睡眠をしっかりと取りましょう。
先ほどもお伝えしたように、肉体的ストレスが動脈硬化や心臓麻痺を起こす可能性は十分あります。
また、眠気覚ましにエナジードリンクを飲む方もいると思いますが、これらには大量のカフェインが入っています。カフェインを摂りすぎると、心臓発作や不整脈のリスクが高まります。できるだけ自然のリズムで活動するように心がけてください。
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ストレスをためない
狭心症の発作は、精神的なストレスが原因となることもあります。さらに、性格も左右しているようです。
短期、攻撃的、イライラしやすい、完璧主義者、競争心が強い方、努力家など、「A型行動パターン」と呼ばれる方は、心臓系の疾患にかかりやすいのです。
あまりカッカせずに、深呼吸をして体と心のストレスを溜めないようにしてください。
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うつ病などの気分障害
うつ病や双極性障害の人、または罹患暦のある方は、心臓系の病気にかかりやすいということがわかっています。
2015年に米国心臓協会と、その下部組織である米国脳卒中協会が発表して話題になりました。
理由ははっきりしていませんが、炎症や細胞のダメージが一因ではないかと考えられています。
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扇風機をつけて寝ると命が危ない
扇風機をつけて寝ると命を落とす、という都市伝説をご存知ですか。実は、これはあながち嘘ではありません。
実際には、扇風機が直接的な原因となって命を落とすわけではありません。ですが、高齢だったり、過労気味だったり、体が弱っている状態だと話は違います。
長時間扇風機やエアコンの風を直接体に受けてしまうと、体温調節がうまくいかなくなり、心臓麻痺を起こす可能性が高まるのです。
扇風機やエアコンをつけて寝るときは、くれぐれも直接体に当たることのないよう、工夫してください。
まとめ
今回は、心臓麻痺の原因と前兆に関して詳しく解説しました。いかがでしたか?
心臓麻痺が起こってしまってからでは間に合いません。
今のうちに、自分の心臓や体の状態をよく把握し、予防するように心がけることが重要です。
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