胸が苦しいし背中が痛い!考えられる原因をチェック!
<監修医師 ドクターTST>
胸が苦しい、背中が痛い…その原因には背中の筋の疲労から背骨のゆがみといったものから心臓、肺、内臓などの病気から表れるものまで本当に様々です。
不安になることが多い部位ですが、ここでは考えられる胸の苦しみや背中の痛みの原因と予防法についてご紹介します。
原因を特定することで、治療方法の確立につながります。
胸が苦しいし背中が痛い。。考えられる原因
胸が苦しくて、背中が痛い、この2つの症状が身体に表れている方は要チェックです。
こういった症状が出ることは身体に何らかの変化が起きていて、身体はそれを知らせるために痛みや苦しさになって表現しているのです。
ここでは原因を大きくわけてご紹介しますが、本当に原因は様々なので自己完結せずに早めに専門機関への受診をすることをお勧めします。
胸の苦しさや背中の痛みに加えて、他にも症状がないか今一度確認しながらみていきましょう。
原因1「心臓に問題がある場合」
心臓は胸の真ん中に位置しており、年中無休で拍動を続ける、いわば人体のエンジンのような臓器です。
心臓が拍動することによって血液は身体全体に循環し、体を動かせるのですが、ここに問題があるとなると少しばかり厄介です。
1-a.「狭心症、心筋梗塞」
心臓は心筋の収縮によって拍動をします。この心筋に血液を送る冠動脈という血管が狭くなったり、詰まったりすることが原因で胸が苦しくなったり、背中が痛くなったりします。
また息苦しいだけではなく、激しい動悸や吐き気、めまいを感じることもあります。
ではなぜそのようなことが起きてしまうのか。
それは、不規則な生活、ストレス、栄養の偏りによって生活習慣病となり動脈硬化になることに一因があります。
元々血管というのは柔軟性があり、詰まることはほとんどない部分ですが、生活習慣病で血管の柔軟性が乏しくなると、
脂肪など血管内を流れる物質が血管壁につきやすくなり、やがて詰まってしまうのです。
血管がゴム製のホースから排水管パイプのように変化することによって、様々な病気になりやすくなります。
心臓に関わる病気をまとめて「虚血性心疾患」と呼びますが、具体的な原因により病名が異なります。
心臓に送られる血液が一時的に不足し、数分間心臓の働きが低下する病気のことを狭心症、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まってしまい、心筋が壊死してしまう病気を心筋梗塞といいます。
狭心症や心筋梗塞になると、一時的に心臓に血液が送られない、または血液が不十分な状態になりますので、心臓の働きが鈍くなります。
この二つの病気は、動作時に胸が苦しい、呼吸がしにくい、背中が痛い、ドキドキするという心臓に直結する症状から、背中やみぞおちの痛み、左の肩や腕が重だるく上げづらい等の症状が出ます。
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数分で治まれば狭心症、30分以上持続的に症状が続く場合は心筋梗塞を発症している可能性があります。
心筋は一度壊死してしまうと二度と元には戻らない器官ですので、思い当たる場合は早急に循環器科、内科にかかりましょう。
またインフルエンザを放置していると狭心症に似た「心筋炎」を発症する場合がありますので注意が必要です。
寒気を感じるような風邪は、早めの対策で合併症を抑えることが出来ます。
1-b.「大動脈瘤」
胸の苦しさ、背中の痛みに加えて、息切れや声が嗄れる、顔にむくみがある等の症状がある場合には大動脈瘤の可能性もあります。
大動脈とは心臓から出て胸部、腹部を通り、内臓に栄養を与えるための太い血管です。この大動脈が動脈硬化など何らかの原因でこぶのように膨らんだ状態が大動脈瘤といいます。
この大動脈瘤、ただ膨らんでいるだけではほとんど症状はみられません。
しかし、どんどん膨らんでいくと身体にサインが出始めます。大動脈が膨らんでくると、身体の内部に圧力がかかって様々な箇所に痛みが表れます。
胸部の大動脈瘤であれば胸部の臓器、肺や心臓にも圧力がかかるため、胸の苦しさは出現しますし、関連して背中にも痛みが出てくる場合があります。
通常であれば、大動脈の直径は25~30mmですが、大動脈瘤となると2倍以上の太さになることがあります。
年間4mmずつ、じわりじわりと大きくなっていきますので自覚症状が表れにくく、破裂したときに大動脈瘤だったと気づく場合もありますので、気になる場合は迷わず循環器科へかかりましょう。
1-c.「自律神経失調症」
胸が苦しい、息苦しいなどの症状を訴える患者さんのうち、精密検査を行っても身体に異常が見つからない場合、「ストレス」が原因となり、自律神経失調症が疑われます。
「気持ちの問題で胸や背中に圧迫感を感じるものなの?」とお考えの方もいらっしゃるかも知れませんが、自律神経は体内のあらゆる動作を司る器官であり、非常に繊細に出来ています。
そのため心因的なストレスを如実に繁栄してしまうのです。
「夜になると苦しさを覚える」「朝、寝起きに顕著な痛みを感じる」という人の場合、自律神経失調症あるいはうつ病の可能性が高いです。
ストレスは仕事や人間関係の他、気候の変化など様々な理由が考えられます。
馬鹿に出来ないこんな理由
心臓に関わる病気の疑いの他、実は「恋」が原因で、胸が苦しく背中が痛くなる場合があります。
恋で胸が苦しい理由としては、恋に落ちた場合が考えられます。
恋愛は脳内麻薬の分泌で感じると現在では考えられており、この脳内麻薬が原因で胸が苦しくなると考えられています。
この場合、理由には心当たりがあるはずですので身体の健康に関わる心配はいりません。
原因2「肺に問題がある場合」
胸が圧迫されているような苦しさ、背中の痛みを訴える原因として、肺に問題がある可能性も考えられます。ここでは気胸、胸膜炎についてご紹介します。
2-a.「気胸」
気胸は突然肺に穴が開いて空気が胸の内に漏れる病気です。
胸内に逃げ場のない空気が溜まり、肺が縮んでしまうので胸が苦しくなります。
胸痛については肩や鎖骨あたりの痛みであったり、背中側に痛みが発生する場合があります。
自然に発生する自然気胸の多くは保存治療といって安静にしていれば穴は塞がる場合が大半ですが、症状が長く続く場合には病院にかかりましょう。
2-b.「胸膜炎」
胸の苦しさ、背中の痛みに加えて、咳が出る、呼吸がしにくい、身身体全身体が重だるく、熱っぽい等の症状が出ると胸膜炎の可能性があります。
胸膜炎は肺炎などの肺の病気に合併して出現することが大半です。
しかし、症状があまりにひどい場合や長く続くといった場合にはただの風邪だと思わずに早急に内科への受診をおすすめします。
胸膜炎は、肺を包むように覆っている2枚の膜の間に水が多く溜まってしまう病気です。
この2枚の膜の間を潤滑させ、肺を収縮させるために元々胸膜間に水があるのですが、その水が風邪などの炎症によって増え、吸収できなくなることによって胸水が発生します。
風邪をひくと免疫力が低下し、細菌が喉から肺に入りやすくなっています。
この細菌が肺に到達することで炎症が起き、胸膜炎になってしまうのです。
胸膜炎による胸の苦しさは肺由来にありますが、背中の痛みは大半は筋疲労です。咳き込むと背中の筋はその都度収縮し、緊張します。その疲労が痛みとなって表れてきます。
2-c.「肋間神経痛」
心臓や肺を守るために左右12対の肋骨に沿って伸びる神経があります。これが肋間神経といいます。
注意していただきたいのは、肋間神経痛という疾患はないということです。腹痛や頭痛と同じように症状のことを指します。
また、肋間神経痛は胸の片側に痛みがあることが主症状としてあり、胸の苦しさや背中の痛みは人によって異なります。
一般的には、肋骨に沿って伸びる神経の痛みなので、胸を大きく広げる伸びの姿勢や、深呼吸で息を吸った時に痛みは強くなるといわれています。
随伴症状として胸の苦しさや背中の痛みが出てくるので、上記の動作で痛みが出る際には整形外科に一度受診することをお勧めします。
姿勢が悪いのも原因?
椅子に座った状態でへそを中心に背中を丸めてみましょう。長時間続けていると胸が苦しくなって、背中も疲れませんか?
そうなんです、姿勢の悪さというのも胸の苦しさや背中の痛みに関連しています。
背中を丸めたような姿勢を長時間続けていると、内臓の位置の変化があり、胸は圧迫されてしまいます。
そして、身体が前に倒れていかないように背中の筋は長時間にわたって緊張し、疲労することによって痛みに変わります。
背中を丸くし、首は前に出ているような姿勢を長時間続けてしまうと、当然腰の骨や肩の筋にも負担が大きくかかりますので、胸の苦しさや背中の痛みに加えて慢性的な腰の痛みや肩の痛みに繋がってきます。
また、こういった姿勢が日常的に続くと、背骨を構成する頸椎や胸椎、腰椎に負担が大きくかかり、正しい位置での支持ができなくなることによって支持が崩れるので、今は痛みがなくても将来的に痛みが発生してくる可能性が高くなります。
姿勢の悪さによって血行が悪くなることにより、身体に送られる酸素や栄養が不足して骨や筋肉が弱くなってしまうことに加えて、疲労物質や炎症物質が滞ってしまいます。
姿勢の悪さは身体の外側だけではなく、内側にも影響を及ぼしますので、今一度鏡をみて自分の姿を見直してみても良いのではないでしょうか。
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以上、胸の苦しさと背中の痛みについての原因を大きく分けてご紹介しましたが、予防できることはあります。
それは、まずは生活習慣病からの逸脱が要となります。
現代の生活は昔に比べてより自由になっており、お腹が空けば24時間営業のコンビニに行くこともできますし、面倒であればデリバリーを頼むこともできます。
こうした便利さゆえに、身体は怠けることを覚えて、血管は固くなり、身体も固くなり、様々な病気を発症する可能性はぐっと上がってしまいます。
また、現代社会はストレスを抱えやすい社会となっており、精神的なものからも健康を害することは多々ありますので、個々の健康管理は非常に重要となっています。
運動をすることは多くの利益をもたらしますが、今日から走ろう!なんて思わなくても結構です。
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姿勢や食に気を遣う、少し早めに家を出て遠回りして歩く等、日常からのほんの少しの努力から健康は十分に保たれます。
もちろん気分転換にランニングするなど、身体を動かすストレス発散方法も効果があります。
自分が最も気分転換できる方法を見つけることが最も重要です。
健康は人生の要となる部分です。心も身身体も健康に、ポジティブな生活を手に入れるためにもまずは身体へのほんの少しの気遣いから始めてみてはいかがでしょうか。
早期に違和感に気付くことが重要です。
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