頭が重いしだるい!【7つの原因と対策法はこれ】
<監修医師 豊田早苗>
何だか頭が重くて、締め付けられるような感覚に苦しんでいる人はいますか?
こうした頭の重さは「頭重感」と呼ばれており、頭痛の一種です。
頭が重いだけならまだしも、体全体がだるくて動くのはもちろん、座っているのもつらい、ということもあるかもしれません。
今回はそうした「頭が重い」症状を引き起こす原因と、それぞれの対処法を解説していきます。
気になる所から確認してみよう
頭が重いしだるい7つの原因と対処法
頭が重くて倦怠感がひどい原因としては、肉体的な物と、精神的な物の両方が考えられます。
精神的な物といっても脳のシステムに異常が生じているということでもあるので、肉体的な原因と比べてどちらの方が重い・軽いということはありません。
睡眠不足
頭重感をもたらす原因の中でよく見られるのは、睡眠が不足していることです。
必要な睡眠時間や最適な睡眠時間は個人によって異なるために一概には言えませんが、1日に眠る時間が5時間や4時間であったりすると、確実に異常が生じてきます。
眠りは肉体に疲労を軽減してリセットするために重要な行為であり、不足すると体に疲労がたまったままになります。
疲労がたまれば筋肉が硬直して血管や神経を圧迫し、結果として頭重感という形で症状が現れてきます。
眠たくなかったりあくびが出なかったりしても、体の方が睡眠を求めているサインです。
睡眠不足による症状は頭痛薬を飲んでも解決にはならないので、ちゃんと睡眠をとるようにしなければいけません。
さらに、1回良く寝ただけでは意味がないので、生活リズムを改善して7時間程度の睡眠をとれるように調整を行うことを意識しましょう。
平日によく眠れないからといって、休日の起床時間を遅くしてしまうことも睡眠リズムを乱す原因になるので、眠る時間・起きる時間は毎日可能な限り統一するように心がけることも大切です。
眠る前のコーヒーなどカフェイン飲料はもちろんのこと、お酒も睡眠のためには良くありません。
眠くはなりますがお酒による睡眠は浅く、トイレにも行きたくなるので結局はよく眠れないことになって体力回復にはなりません。
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眼精疲労
眼精疲労とは、眼を使う仕事を続けることで、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状が生じた状態のことです。
眼の症状だけでなく、頭痛・肩こり・吐き気なども出現します。
眼疲れと違い、休息や睡眠をとっても十分に回復せず、日常生活の中でもずっと続くようになります。
目からくる疲労が全身に伝播している場合もありますが、逆に頭重感を生じさせるような原因が目にも異常を生じさせている可能性も考えられます。
いずれにしても目を休ませた方が良いので、パソコン作業では1時間ごとに10分程度の休憩を取ったり、ブルーライトを遮断するフィルムや眼鏡を使用したりするように工夫しましょう。
眼精疲労は緑内障などの目の疾患が起こっているときに生じることもあります。
緑内障は眼圧が上がることで、視神経が圧迫され、視野が欠けたり狭くなったりして最悪の場合、失明に至る病気です。
視野が欠けたり狭くなったりすると目はそれを補おうとするので、眼精疲労が発生しやすくなります。
気付いた時には取り返しがつかない状態になっていることもあるので、目の疲れが取れないと感じたときは、眼科で診断してもらいましょう。
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頭痛(緊張型頭痛)
頭の重さは頭痛の一種であるため、悪化すれば本当に痛みを感じるようにもなります。
いつも頭がずっしりと重かったり、締め付けられるように痛んだりする症状は、慢性型頭痛と呼ばれます。
慢性型頭痛の中で代表的な物は、ストレスがもたらす緊張によって発生する緊張型頭痛です。
緊張型頭痛の特徴は「ヘルメットをかぶっているような」と表現される、頭の周りを何かで締め付けられるような鈍い痛みです。
くらくらしためまい、肩や首がこる症状も出てきます。
緊張型頭痛は首から肩、背中にかけての筋肉や、頭の筋肉が緊張することで起こります。
頭がずっしりと重くなった時は、頭を動かして首や肩のほぐすことで改善することが多くあります。
もう一つの代表的な頭痛には片頭痛があります。
片頭痛は頭の片側だけに発作的に生じる頭痛です。
ドクンドクンと脈打つような痛みが特徴で、ひどい場合は吐き気、嘔吐、光に敏感になるといった症状が起きることもあります。
頭の痛みとはいっても頭が重くなるタイプではなく、緊張型頭痛とは異なる性質を持っています。
頸性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)
頸性神経筋症候群は、首の筋肉の異常によって頭痛やめまい、自律神経失調症が起こる病気です。
うつむいた姿勢が長時間続くことで首の筋肉に過度な負担がかかって疲労し、あまりに続くと変性を起こして硬直してしまします。
この硬直した筋肉が、心身の活動に関与する副交感神経を締め付けることで生じる様々な一連の症状が、頸性神経筋症候群とされています。
症状としては緊張性頭痛による頭の重さや肩こりのみならず、動機や息切れ、手足の冷えといった神経性の症状、不眠やうつ状態といった精神的な症状まで引き起こされます。
一向に改善しない原因不明のうつ症状が肩こりと共に続いている場合は、この病気を疑ってみるとよいでしょう。
頸性神経筋症候群を予防するにはうつむき加減の姿勢を改善して、適度にストレッチを取ることが重要です。
すでに症状が起きている場合は、電気療法や鍼治療などで硬直した筋肉をほぐすことで症状が改善されます。
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脳疾患(脳梗塞・くも膜下出血)
脳梗塞やくも膜下出血といった脳疾患によって生じる頭の重さは非常に危険です。
脳梗塞は脳の血管に血の塊(血栓)が詰まることで、栄養や酸素が行き届かなくなった脳組織は機能を停止し、次第に壊死してしまいます。
高血圧や糖尿病、肥満、高尿酸血、喫煙はリスクを大きく高める原因です。
くも膜下出血は脳を覆う三層の膜の内、二番目と三番目の膜の間に出血が生じることで、多くの場合動脈が破裂したことが原因です。
動脈硬化で血管がもろくなっている人に起こりやすく、喫煙、血圧高い、アルコール多飲などは危険性を高めます。
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出血がそれほど強くない場合は、頭痛がそれほど強くなく、頭が重いと感じるだけの場合もあります。
しかし、大量に出血すれば激しい頭痛や吐き気が起き、取り返しのつかない事態に発展することもしばしばです。
こうした脳疾患の危険性があると診断されている人は、頭に異常を感じたときはすぐに病院に行きましょう。
予防するときにはタバコが両方の病気のリスクを高める原因なので、早めに禁煙するように心がけなくてはいけません。
うつ
うつとは「抑うつ」の略で、気分がふさぎこんで活動を嫌っている精神状態を指します。
気分が晴れない、孤独感、何をやっても楽しくない、食欲がない、動く気になれない、意味もなく苦しいなど気分がスッキリせず、すぐれない状態です。
抑うつの「気分」が憂うつで、こうした気分が起きた状態はまとめて「憂うつ症候群」となります。
抑うつが生じる原因には、日常のミスや良くないこと、大きなライフイベント、女性なら生理前や更年期、あるいはけがや病気の症状で起きることもあります。
抑うつでは腹痛やめまいなど体の症状が出ることも多く、頭の重さもその中に含まれます。
こうした抑うつが慢性化して戻らなくなった状態が「うつ病」で、体や脳のシステムに異常が生じて、自然には戻らなくなっている状態です。
気分がすぐれない上に頭が重く、だるい、起き上がれない、思考が鈍って考えられないといった症状が出てきていつまでも治らない時は、うつ病を疑ってみる必要があります。
そのときは、心療内科で診断してもらいましょう。
小学校低学年の子供でもうつ病を患うことがあるので、子供の異常を見逃さないように気を付けてあげることも大切です。
特にストレスを感じているわけではないのに、うつ状態が続いているときは頸性神経筋症候群など、体の異常が原因であるときがあります。
どうしてもうつ状態や自律神経の異常が続いているときは、外科を受診してみてもらうのも手です。
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統合失調症
統合失調症は精神障害の一つで、思考や感情がまとまらずに物を考えることが難しくなる、脳が疲弊して幻覚や妄想が生じるといった症状が出ます。
発生原因は不明ですが、環境と遺伝の両方が関係しており、誰にでも生じる可能性がある病気です。
統合失調症になるとストレスをため込みやすくなり、ストレス性の頭痛や頭の重みが生じることがあります。
統合失調症は投薬や認知療法、作業療法によって治療可能で、頭痛を解消するにはストレスの緩和が必要になります。
普通に生活しているときにストレスを緩和させるように、趣味を楽しんだりリラックスできる環境に身を置いたりすることが大切です。
頭が重いことと体や心のストレスは非常に密接に関係しています。
頭が重くて体がだるいときは、何らかの肉体的・精神的ストレスがたまっているサインと考えましょう。
例えば長時間同じ姿勢でパソコンによる作業を続けている場合、眼精疲労・頸性神経筋症候群・緊張性頭痛・抑うつがまとめて出てきた頭が重いということもあり得ます。
頭は心身の状態を示すバラメーターと考え、異常が現れたときは気を付けて生活を見直すようにしましょう。
【参考記事】
体がだるいし眠いのは病気?5つの原因を知っておこう!
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